「ネット炎上保険」がついに発売! バカにできないネット社会のセーフティネット

ビジネス

野本 纏花

 

“ネット炎上”と聞くと、Twitterを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。

 

「AさんがTwitterでつぶやく→それを見て共感したBさんがリツイートする→さらにそれを見たBさんのフォロワーがさらにリツイートする…」とネズミ算式に拡散され、「リツイート件数が多い=話題性が高い」とTogetter(トゥギャッター)でまとめられ、さらにそのリンクがTwitterやFacebookをはじめとする他のSNSで広まり……。

 

さらには、ブログやネットメディアのネタとして取り上げる人が現れ、ついにはマスメディアで取り上げられて、大炎上!というのが、一般的な炎上の流れです。賢い“Google先生”によって、企業名を検索した結果の上位に炎上ネタが残り続けることにでもなればブランド毀損は甚だしく、企業にとって最悪のシナリオとなります。

 

 

■かつては炎上対策でTwitterアカウントを作らない企業も

 

Twitterが普及する以前は、マスメディアを介さない限り、せいぜいブログのコメント欄や2ちゃんねるの掲示板が荒れたり、カスタマーサポートに電話が殺到したりする程度で、人々は企業の不祥事を拡散させる強い力を持ち合わせていませんでした。日本でTwitterが普及し始めた2009年頃は、ネットで炎上しないためのリスク管理として、Twitterアカウントを作らない方針をとる企業も多く見られました。しかし、時が経つにつれ、それが何の効果もないどころか、むしろ炎上に気付かず対応が遅れるリスクになるという現実を知り、どうしたものかと頭をかかえる企業が増えていきました。

 

Twitter Japanの公式アカウントの発表によると、Twitterの日本国内の月間利用者数は4000万を突破。10代では男女とも7割超がTwitterのアカウントを複数保有しているという調査結果もあり、複数のアカウントを使い分けることが当たり前の使い方になった昨今。ユーザーが“無敵”だと勘違いしやすい匿名アカウントの増加は、企業にとってみれば脅威の増大に他なりません。

 

 

■ひと昔前では信じられない「ネット炎上対策パッケージ」が発売

 

そんな企業のネット炎上対策を支援するために生まれたのが「SOMPOリスケアマネジメント」「エルテス」「損害保険ジャパン日本興亜」の3社が提供するネット炎上対策専用の損害保険「ネット炎上対策パッケージ」です。中身はというと、エルテスが提供する24時間365日の「Webリスクモニタリング」を基本とし、万一炎上が発生した場合、「ネット炎上対応サービス」と「緊急時マスコミ対策支援サービス」が提供されるとともに、炎上がひどく多額のリカバリー費用が発生する際には、緊急対応サービス費用の90%が補償されます。

 

さすがに株価の下落や風評被害による損失までは補填してくれないようですが、ネット炎上の免疫がない企業にとって、ひとつの安心材料にはなるのではないでしょうか。とはいえ、月額35万円(税抜)〜ですから、ネット炎上によって甚大な影響が出やすい、ブランド認知度の高い商品やサービスを保有していない企業では、「そんなのうちには関係ないよ」で一蹴されてしまうでしょう。……でも、ちょっと待って! こうした思い込みが最も危険なのです。

 

 

■「炎上なんて関係ないでしょ」と思っているようでは経営者失格?

 

炎上の原因は、嫌がらせや注目を集めたいだけといった理由からの“まったくのデマ”ということも無きにしもあらず。しかし、企業が実際に起こした悪事や不祥事を拡散しているだけというケースも多々見られます。この場合、炎上に加担した人(リツイートした人など)は被害者のために善意や正義感から拡散しており、100%企業が被害者とは言い切れません。

 

例えば、長時間勤務で鬱になった従業員が、SNSで会社への恨み節を吐露していたら? 従業員が飲み会で大暴れしてしまい、迷惑した隣の客が写真を撮って拡散してしまったら? 接客態度が悪い従業員に腹を立てた客が、企業へ直接クレームを入れるのではなく、SNSで不満をぶちまけたとしたら? こうした不祥事の種が「うちには絶対ない」と断言できる企業が、いったいどれほどあるでしょうか。

 

SNSはどこで誰が見ているかわかりません。取引先に悪印象を与えることを良しとする経営者はいないでしょう。もし炎上してしまったら、何よりも大切なのは、いかに早く適切な対処ができるかどうかです。いまだにネットは現実社会とは隔離された場所だと思っているようでは、初動を誤って炎上被害を自ら拡大してしまいかねません。日頃から公明正大な企業経営とSNS利用に関する社員教育を徹底しておくことで、炎上リスクは最小限に抑えることができます。

 

ご自身の会社が大丈夫かなと不安になった方は、日常会話の中で、できれば上層部の誰かに「炎上保険ってのができたらしいですよ!」と投げかけてみましょう。そこで返ってきた回答こそ、炎上に対する危機管理意識のレベルを示す重要な指標となるはずです。

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野本 纏花

All About「インターネットサービス」ガイド。IT企業にてマーケティング業務に従事しながら、2010年8月よりライター業を開始。2011年1月にMarketing & Writing Company 518Lab(コトバラボ)として独立。 マーケター...

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