日米通算203勝の広島・黒田投手、強さの秘訣は“ログ”だった

エンタメ

瀬戸口仁

写真:アフロ

広島の黒田博樹投手が引退しました。残念ながら、日本一を手みやげにとはいきませんでしたが、日米通算203勝を挙げた右腕に拍手を送るファンは多いでしょう。

 

日本人投手で史上初めて日米の先発勝利数のみで200勝(野茂英雄の先発勝利数は199勝)かつ大卒史上初めて先発投手勝利数で200勝に達した投手です。これまで大卒200勝投手は4人いましたが、いずれも先発投手勝利と救援投手勝利の合算で200勝しています。「先発」にこだわることで、黒田の代名詞となった「男気」を感じさせますが、何といってもメジャーで20億円のオファーを断って4億円の古巣・広島を選んだことこそ、「男気」の最たるものといえます。20億円を蹴るなんて、アメリカ人には絶対に理解できない「決断」だったでしょうが、本当のところは本人にしかわかりません。体力面、環境面、責任感など様々なファクターが絡んでいたのでしょうが、我々日本人には黒田の株がこの上もなく上がったことは間違いないことです。

 

ドジャース、ヤンキースでプレーしたメジャー7年間で79勝を挙げました。つねにクオリティ・スタート(6回3失点以内)を目指す投球に評価は高く、だからこそ最高で20億円ものオファーを受けるようになったわけですが、メジャー入り当初は適応に苦労しました。技術的にはシュートをシンカーに進化させ、スライダーの握りを変えて対応しましたが、何と言っても「ログ」(書く)が役に立ったそうです。

 

黒田のログは、相手チームの打者のデータや癖を徹底的に調べてあげて書き、それを頭に叩き込むことでした。日本とは違い、対戦チームは多く、対戦する打者の回数は少ないため、データや癖を記したノートはとても貴重で、「宝物」となります。対戦ごとに新たなデータが加わるため、厖大な資料となりますが、黒田はこれを実際に手で書き、きれいにまとめて、勝利に結び付けていきました。

 

 

 

■一流スポーツ選手とログとの関係性

 

ログといえば、アンガーマネジメントのテク二ックのひとつである「アンガーログ」があります。怒りを文字に表すことによって怒りを「見える化」し、コントロールしやすくする技ですが、他にも「ハッピーログ」や「サクセスログ」もこのコラムで取り上げました。

 

ログ(書く)は重要です。松井稼頭央(現楽天)もメジャーリーグ時代、メッツを追い出されたロッキーズで、課題を毎日ノートに書くことでスランプを克服しました。サッカーの本田圭佑と中村俊輔はもともと弱かった左足強化のため、ノートに毎日課題を書いてそれを実行することで右足以上に強い左足を手に入れました。書くことの重要性を改めて我々に教えてくれます。

 

体力、技術面だけでなく、強くなるためには書くことによっての頭脳(野球脳)も必需なのです。そのことを証明した「男気」黒田は、近い将来、良い指導者になることは間違いないですし、早く第二の黒田を育ててもらいたいものです。

この記事が気に入ったらいいね!しよう

citrusの人気記事をお届けします

瀬戸口仁

瀬戸口仁

1960年2月25日、東京生まれ。サンケイスポーツ新聞社でプロ野球を11年間担当。独立して1993年に渡米し、ニューヨークを拠点に13年間、メジャーリーグ、とくに日本人メジャーリーガーを取材。日本の新聞、雑誌、サイ...

瀬戸口仁のプロフィール
続きを読む
ページトップ