アニメ『SPY×FAMILY』に登場するアーニャは人の心が読める超能力者だが、中身は年相応に表情豊かでキュートな女の子。しかし、ただかわいいだけじゃないのが、彼女の魅力なのだ。今回はそんなアーニャが人気キャラである理由を考察!
『SPY×FAMILY』は、東国(オスタニア)に潜入した西国(ウェスタリス)のスパイ・黄昏(ロイド・フォージャー)が、国家統一党元首であるドノバン・デズモンドに接触するために、彼の息子が通うイーデン校に養子を入学させるというストーリー。その過程でアーニャは孤児院からロイドの養子として引き取られ、フォージャー家の一員として、イーデン校の生徒として生活していくことになる。
■我が子を見守るような気持ちになれる
公には6歳とされているアーニャ。しかし、ロイドは初対面時に4、5歳なのではないかと見立てている。ベッキーたち同世代に比べて背も低いことからも実年齢はそれぐらいが妥当と言えるかもしれない。また年齢のせいなのか、「いらっしゃいませ」を「いらさいませ」、「おしゃれ」を「おされ」といった舌足らずなしゃべり方も若干見受けられ、より一層未就学児っぽさが増しているのだ。
しかし、その割には年齢以上にズル賢い一面もある。ロイドとの初対面時には彼の頭の中を読んで、クロスワードパズルを解き頭の良さをアピールしたり、デズモンド家の次男・ダミアンに恩を売ってロイドのスパイ作戦に協力しようとしたりするなど、何かと打算じみた行動も。
年相応な部分はありつつも、機転を利かせることができるため頭の回転は早いアーニャ。彼女のキャラクターとしての本質には、「子どもっぽくてかわいいけどズル賢い」という二面性があるのだ。アーニャはキャラクターデザインや独特の顔芸など表面的な部分で人気を得ていると思う視聴者も多いかもしれないが、実際は内面の面白さも人気につながっていると言えよう。
ズル賢いということは、見方によっては同世代の女の子よりも背伸びをしているようにも見える。そのため、視聴者は母性、父性を抱いて我が子のようにアーニャを見守る気持ちが芽生えてくると考察できる。ただかわいいだけではなく、親のような気持ちで見つめることができるのも彼女の人気の秘訣なのかもしれない。
■口の悪さは視聴者の声を代弁している?
舌足らずな言葉遣い以外にも、口の悪さが目立つアーニャ。「くそださい」、「くそやろう」などといった「くそ」という言葉を多用しがちであり、4~5歳児が使っていると考えるとギョッとしてしまう。ちなみに原作コミックスの番外編でロイドがアーニャの学習のために作ったアニメに対しては、「くそあにめ」と子どもが考える範囲で最も厳しい評価を下していた……。
ほかにも群衆を見て「ひとがごみのようだ」、クラスメイトのダミアン・デズモンドに向かって「おまえ」呼ばわりするなど、お世辞にも口が良いとは言えない。そんなアーニャの暴言とも捉えかねない発言だが、メタ的に見れば視聴者の気持ちを代弁しているとも言える。
先に挙げたロイド制作のアニメは、ロイドがアーニャにアニメを観て勉強してもらおうとするがあまり、教科書の問題文のようなセリフを多用していた。任務ゆえのロイドの頑張りともとれるが、如何せん空回りしている感は否めず、読み手側からすると到底面白い物とは言えない。
なので、アーニャの「くそあにめ」という評価は、アーニャ自身の評価でありながらも、実は読み手側の気持ちも率直に言い表しているのだ。ほかにも「おまえ」呼ばわりに関しては、ダミアンがアーニャに対して辛辣な態度を取っているのでさほど違和感はないし、「ひとがごみのようだ」発言に関しても、元ネタである『天空の城ラピュタ』のセリフを知っている視聴者であればクスっと笑わせることができるものとなっている。
視聴者の気持ちをはっきりと言ってくれる、楽しませるというキャラクターは貴重。アーニャのセリフは、本作を楽しむうえで視聴者の共感を得る重要な要素のひとつになっているのかもしれない。