ガツンと叱ってくれる大人が少なくなってしまった昨今。パワハラやモラハラを恐れ、うかつに叱ることが許されなくなった世の中になりましたが、『ドラえもん』では立場関係なくガツンと叱ってくれる言葉が満載。今回は心に響くドラえもんの名セリフを3つ解説!
■「なにかしようと思ったら、そのことだけに夢中にならなくちゃだめだ」
目的を達成しなくちゃいけないという切迫感を抱きながらも、めんどくさくて行動に移せない人は多いはず。バシッとお尻に火を点けてくれる存在が必要ですが、なかなかそんな人はいませんよね。
てんとう虫コミックス『ドラえもんプラス』第2巻で登場した「なにかしようと思ったら、そのことだけに夢中にならなくちゃだめだ」というドラえもんのセリフは、物事に対する向き合い方を教えてくれる言葉です。机に座っていてもなかなか勉強を始めず、親に叱られたのび太に向けて発したこの言葉は、怠け者なのび太のみならず、すべての人間に刺さる言葉となるでしょう。
自分で決めたことであれ、周囲から課せられたことであれ、目の前にあるやるべきことは自分のリソースを集中させて終わらせるべき、とドラえもんは諭してくれています。仕事のみならず日々の生活でも自分に裁量や決定権が委ねられていることは多いでしょうから、この言葉を胸に刻んで、仕事や勉強をがんばっていきたいですね。
■「ほしいからって、なんでもかんでもかんたんに手に入ると思うのは考えがあまいぞ」
てんとう虫コミックス第13巻でグローブをおねだりしたのび太に、ドラえもんが発した「ほしいからって、なんでもかんでもかんたんに手に入ると思うのは考えがあまいぞ」というセリフ。道具で願いが叶えられる今の環境が当たり前ではないぞ、とドラえもんは指摘しており、のび太のみならず一読者としてもハッとさせられる言葉となっています。
現実社会でも、物欲を刺激され、ほしいものがどんどん増えていくことは珍しくはありませんが、たいていは働くなどして給料を得て自分でゲットするのが一般的です。それはものだけではなく、キャリアやスキルという類いのものでも同じことでしょう。自分で努力すらせず、何でもかんでも他人任せにしているようでは、いつまでたっても自分が望むものは手に入りませんし、成長なんてできません。
手間と労力をかけて手に入れたもののほうが、喜びは人一倍大きくなるでしょうし、挑戦することが楽しくなるはず。ドラえもんは、苦労の先の喜びも含めてのび太に諭したのでしょうね。
■「いっぺんでいいから本気でなやんでみろ!!」
「いっぺんでいいから本気でなやんでみろ!!」というストレートな説教。てんとう虫コミックス第34巻で登場したこのセリフは、成績が悪すぎて悩むのび太に対し、ドラえもんが「たんに甘ったれてるだけだ」と発した直後に出てきました。
悩むだけ悩んで答えが出ないときは、時間を無駄に使ったと思いがちですが、実はその悩み抜いた時間こそが一番大事なのかもしれません。ドラえもんは先のセリフに続けて、「なやんでなやんでなやんでなやみぬくのだ、そうすれば……、そこに新しい道がひらけるだろう」と話しており、悩んで辿り着いた先に新しい自分がいると諭しています。
答えが出ずとも、悩んだ過程で自分がどういう思索を練ったのかは心の中に残ります。その思索は、またさらに悩み抜かれた結果、洗練され、新しいアイデアやヒントへと生まれ変わる可能性を秘めているのです。
昨今ではタイムパフォーマンスなんていう言葉が浸透し始め、決められた時間内で結果を出すことが求められるようになりましたが、ときには時間なんて度外視でいつまでも悩んでみてもいいのではないでしょうか。それが後々、自分にとっての財産になるでしょうし、ドラえもんの語っていた「新しい道」になるのかもしれません。