1988年のシルビアQ,sは177万円でした。当時と年収は変わらず

コラム

 

取材で学生さん4人と対談をした。以前から書いている通り、クルマ嫌い世代はハッキリ終了しているという手応えを得たモノの、やはり自動車文化が継承されなかった10年間のブランクたるや大きい。自動車で楽しむというコンセプトがありません。一方、クルマの価格はドンドン上昇し、もはや気軽に買えるような雰囲気じゃなくなった。確かに新車の価格を見ると高い!

 

若い世代の年収を調べてみたら、1988年あたりからほとんど上がっていない。その間、クルマの価格は上がり続けた。例えば日本での販売を止めてしまったCR-V。1995年にデビューした時は、上級グレードの4WDで198万円。ベースは172万円でした。私が初めて買った新車である1985年式アコードの1800EFなんか129万7千円。エアコンなど付けたって150万円程度だった。

 

大ヒットしたS13シルビアも1988年式の中間グレード『Q,s』が177万円。いずれにしろ150万円出せば1800cc級のセダン。200万円出すとスペシャルティカーやSUVを買えたのである。ちなみに新車を買っていたのは当然の如く社会人。定職に就いていたって200万円以下が売れ筋だったワケ。翻って現在の新車価格を見ると、200万円なんてコンパクトカーの上級グレード。

 

1500ccのミニバンをフル装備にしたら、支払額で300万円を軽く超えてしまう。やはりクルマの価格は安全装備などの充実を考慮しても高くなった。といったことを考えると、ニーズがあるのは200万円以下で買える”そこそこ大きい”クルマじゃなかろうか。好例は何度も紹介してきたBR-V。1500ccの3ナンバー車で、初代CR-Vと同じくらいのサイズ。180万円なら売れる。

 

ミニバンも大ヒットした初代ステップワゴンの中級グレード『G』で180万円。ボディサイズは現在のステップワゴンと同等である。大幅なコストダウンを行い、安全装備と自動ブレーキを加えて200万円くらいなら素晴らしい。とにかくホンキになって「安くて楽しくてボリュームのあるクルマ」を考えてみたらいいと思う。軽く作ったら、1500ccの普通のエンジンで十分燃費も稼げるかと。

 

興味深いことに輸入車の価格はあまり上がっていない。ばかりか、最近は200万円以下で買えるモデルも多数揃う。輸入車の販売が順調なの、当然かもしれない。

 

※情報は2016年9月8日時点のものです