川口春奈、自然体を超えた硬派な23歳──GQが選んだ旬なオンナたち

コラム

citrus 編集部

ドラマなど出演作が相次いでいる川口春奈は、Instagramでの発信がニュースになるなど、最近何かと話題だ。23歳の女優の佇まいは自然体を超えた凄みすら感じさせる。

 

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■“目の前にあるものに誠実に取り組めたらと思っています”

 

6〜7月の川口春奈はますます多忙だった。ヒロインを演じる7月期ドラマ『ヒモメン』の撮影があり、そこにFIFAワールドカップが始まったからだ。大のスポーツ好きで、「全試合観ます」と当然のように言う。できるだけリアルタイムで観たいと、早朝から他誌の撮影があったこの取材日(6月中旬)も、深夜2時まで開幕戦を観たそうだ。

 

それでいて、衝撃の美しさできっちり撮影をこなす。寝不足は微塵も感じさせない。全方位的に女優だった。

 

まわりが驚くようなことであっても、本人的には無理はしていない。たとえば都内の電車移動をInstagramに投稿したことがニュースになったが、「女優なのに電車に?」と訊くとこう答えた。

 

「土日などパーキングが埋まってそうな日は、クルマでずっとぐるぐるして遅れちゃうのが怖いです。でも電車だったら正確ですからね」

 

まっとうすぎるほどまっとうな理由だった。サッカーのための夜更かしも、他の乗客に気づかれることも(騒がれた経験はないとか)、たいしたことではないと言い切る。受け答えを聞いていると、自分を飾ったり話を盛ったりすることは、川口春奈にとって不自然なことなのだろう。

 

たとえば「旅に出る理由は?」という質問の答えは以下のとおり。

 

「特にないです」

 

一瞬、寂しくなった。でも、“そこに山があるから”的で格好いいではないか。もう少し踏み込むとこう続けてくれた。

 

「時間と直感にしたがって、思い立った時に旅に出ます。知らないものを見てみたいという欲求はありますね。視野が広がると思います。(最近行った)カンボジアではいいこともショックなことも味わいました。そういう意味で考えさせられたりもするし、時間があって旅に行けるいまの環境が幸せだと実感します」

 

 

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女優業について聞くと、やはり大きなことは語らなかった。

 

「いまは何でも挑戦したいですし、そういう時期。目の前にあるものに誠実に取り組めたらと思っています」

 

どこか内気な人特有の愛情の深さが文字と写真ににじみ出てくるInstagram上の彼女と、目の前の川口春奈は違っていた。カメラマンの前に立つと、その瞬間、ひとりの若い女性というより女優になっていた。人間である前に女優?とすら思わせるほどに。飾らない受け答えも、それがナチュラルというよりも、職業としての女優であるがゆえのものだったのだろうか。“硬派”なプロとして、彼女は私の前に立っていたような気がする。長崎の五島列島に生まれ、演技を始めて早10年。23歳とは思えない「女優」の存在感に私は圧倒されたのだった。

 

文:大石智子

 

 

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川口春奈

1995年、長崎県五島市生まれ。2007年にモデルデビューし、2009年に女優デビュー。2011年には『桜蘭高校ホスト部』で連続ドラマ初主演。放送中のドラマ『ヒモメン』(テレビ朝日・土曜23:15~)ではヒロイン役を演じる。メガネ好きでもあり、保有するメガネは約50本。

 

※情報は2018年10月26日現在のものです