炭酸をやたら飲みたくなるので病院に行ったら糖尿病だったというツイートが話題になっていますが、糖尿病で「のどが渇く」という自覚症状に医学的根拠はあるのでしょうか? 内科医の山本佳奈先生にお話をうかがいました。
糖尿病は2つのタイプに分けられます。インスリンをまったく作ることができない1型、インスリンの量が十分でなかったり、作られたインスリンが十分に作用しない2型。多くはこの2型ですが、いずれも血液中のブドウ糖の濃度がとても高くなる病気です。典型的な症状としてあげられるのは、
などです。
それぞれの仕組みを詳しくご説明していただくと……
糖尿病により血液中のブドウ糖が多くなりすぎると、高血糖状態を改善するために尿から排出するようになります。こうして尿の量や回数が増えるのが「多尿」の症状。
体内の水分が尿として大量に排出されると、脱水症状になります。脱水になると、口の中やのどが激しくかわき、改善するために大量の水分を摂取したくなります。
注意しなければならないのは、発症に気づいていない、または治療を開始していない2型の糖尿病患者なのだそう。
糖質を含む清涼飲料水を過剰に摂取すると、高血糖はもちろん、糖質と脂質の代謝障害により体内のケトン体が異常に増えるケトーシスという状態になります。
インスリンの分泌と作用が急激に低下するので、多尿からの口渇をきたすという悪循環に陥ります。いわゆるペットボトル症候群といわれます。
山本先生によると、のどが渇く病気として、糖尿病のほかに
熱中症(口渇を生じない場合もある)、尿崩症、シェーグレン症候群、利尿剤内服中、抗コリン作用を持つ薬の内服など
があげられるとのことですが、糖尿病も疑うべきひとつの病気だということがわかりました。
のどが渇くからといって糖質を多く含む清涼飲料水ばかり摂取しているととても危険。炭酸をやたら飲みたくなるといった症状は、糖尿病を疑うひとつの要因といってもよさそうです。糖質を含む飲料水の過剰摂取→多尿→口渇→多飲……という悪循環に陥る前に治療を始められると安心ですね。
※情報は2019年3月23日現在のものです