国内累計発行部数が1億2000万部以上という、驚異的な記録を打ち立てているスポーツマンガの金字塔『スラムダンク』。不良だった赤髪のバスケ初心者・桜木花道が、湘北高校バスケットボール部に入部し、強豪校のライバルらと対戦しながらメキメキと頭角を現していく物語に、多くのファンが魅了されたものです。
今回はそんな『スラムダンク』の最終回と、2017年に公開された動画で作者の井上雄彦先生が語っていた証言をもとに、考察していきます。
■優勝は森重寛擁する名朋ではなく、登場していない高校!?
最終回――インターハイ2回戦で、日本の高校バスケ界の頂点・山王工業戦に勝利した湘北高校! しかし、続く3回戦で湘北高校は愛和学院にウソのようにボロ負けしたことがナレーションで語られ、場面はインターハイからいくらか日数が経過した後の湘北高校に移ります。
この最終回の日付は明確にはわからないものの、井上先生が描いた後日談ショートストーリー「あれから10日後-」では、すでに2学期が始まっているため、最終回が8月下旬だったであろうことはわかります。
さて、ここからが考察の本題。最終回では冬の選抜(選抜優勝大会)に向け、湘北高校バスケ部がリブートするシーンが描かれますが、藤真健司率いる翔陽高校は、藤真や花形などのスタメンメンバーが全員残ることが明言されています。
続いて仙道彰率いる陵南高校が紹介され、最後に全国2位だったことが明かされた海南大附属高校が紹介されるのです。
注目はこの海南の紹介シーンなんですが、3年の牧紳一や高砂一馬もしっかり描かれているんですよね。陵南高校ではすでに引退した魚住純が描かれていなかったことを考えると、明言はされてはいないものの、“神奈川No.1プレイヤー”である牧は冬の選抜もどうやら出場する模様…!
大黒柱だった“ゴリ”こと赤木剛憲が抜け、オフェンス力・ディフェンス力ともに下がる不安のある湘北にとって、ほぼインターハイ時点のフルメンバーで来る海南は、かーなーりーの強敵になるであろうことは想像に難くありません。
――さて、ここからが考察のメインディッシュ。
そう…………結局、インターハイで優勝したのはどこだったのか!?
という『スラムダンク』最大のナゾに迫ります。
オリジナル版の単行本23巻に、インターハイのトーナメント表が描かれており、組み合わせで左側の山にいた海南が2位ということで、当然、優勝校は右側の山にいた高校ということになります。
ちなみに右側の山には、予選で愛和学院を破り、愛知県大会1位で通過した名朋工業高校の名前があるんですね。この名朋、『スラムダンク』ファンの方々へは言わずもがなの情報でしょうが、1年生にして2メートル近い巨漢で、主人公・花道が密かにライバル視していた森重寛を擁する高校でした。
となると、作中では描かれていませんが、名朋が森重寛の圧倒的な才能で優勝をもぎ取ったのだろう…と考察するのが順当なところ。
…………なのですが!!
実は、2017年に『朝日新聞デジタル』が公開した動画で、そのナゾが明かされているのです…! その動画は作者の井上雄彦先生と岡田優介選手の対談なのですが、そこで井上先生自身がインターハイ優勝校について語っているのです…!!
動画の中で井上先生は、
「(名朋優勝は)それはないんですよ」
「一応、僕の中にはあって。でもその優勝したっていうチームは別に描かれてないんで。出てこないチームなんで」
「名朋優勝じゃヤダなっていうのがあって。まさに才能っていうか、そういう選手が優勝はヤダなって」
と語っているのです…!!
優勝校の明言こそ避けたものの、森重寛のいた名朋が優勝したわけではないこと、さらには作中で登場していない高校が優勝したことが明かされたのでした…!!!!
■そのほか「スラムダンク」最終回の考察記事はコチラです