先日、米大手ハンバーガーチェーンのバーガーキングが日本国内の店舗99店舗のうち、22店舗を閉店するというニュースが話題になりました。根強いファンがいるイメージのバーガーキングですが、今回大量閉店という選択を迫られたのはなぜなのでしょうか。マーケティングコンサルタントの新井庸志さんにお話をうかがいました。
1993年に日本に初出店し、直焼きしたビーフのパティとボリューム感で根強いファンがいるというバーガーキング。世界的にはマクドナルドに次ぐ人気のハンバーガーチェーンですが、新井さんによれば、世界的な人気を背景に日本に進出したものの、バーガーキングのこれまでの日本での状況は決して明るいものではなかったのだそう。
バーガーキングは2001年に一度、日本から撤退しています。バーガーキングのハンバーガーは高めの価格設定。一方、当時の日本の市場は低価格化がトレンドでした。トレンドに合わなかったことが撤退の大きな要因です。
2007年から日本で再出店し、店舗数を増やしていったバーガーキングにとって、転機となったのが、ハンバーガー市場に激震が起こった2014年から2015年だったと新井さん。
業界最大手、マクドナルドに食品安全問題が起きました。その結果、消費者のマクドナルド離れが急加速し、業績は急降下。マクドナルドが店舗を大量に閉店したため、バーガーキングはその跡地への出店を積極的に進め、シェア拡大を狙いました。しかし残念ながら、業績が大きく伸びることはありませんでした。
ではなぜバーガーキングは日本で伸びることができなかったのでしょうか?
「バーガーキングに行きたい、バーガーキングで食べたい」という消費者の強い動機を作れなかったのが理由です。バーガーキングの主力商品「ワッパー」は、海外では人気ながら、日本では一部の消費者から根強い人気を得ただけにとどまり、ニッチな商品の域を抜けられませんでした。
また他ハンバーガーチェーンと比較してボリュームが大きいことも特徴でしたが、消費者に大きなインパクトを与える情報を提供できていなかったことも要因です。
今回、大量閉店となったバーガーキングは今後、どのような展開が予想されるでしょうか?
これまでと同じ戦い方では、厳しい状況になる可能性があります。
マクドナルドなど他チェーンも、ワッパーのボリュームを超えるような話題性あるメニューを展開していますし、どのチェーンも限定メニューやキャンペーンを次々に展開して、消費者に訴えかける取り組みを加速させています。チェーン以外でも、ボリュームがあり味も本格的グルメバーガー店が次々に登場しています。
バーガーキングがやるべきことはマーケティング戦略の見直しでしょう。「誰がお客さんになってくれるのか」「どうやったら足を運んでくれるか」を整理することがまず重要です。それを踏まえ、リブランディングも視野に入れた戦略の見直しを行うことができれば、厳しい市場といえども、成長の機会は残されているでしょう。