キンピラゴボウの「キンピラ」は「チンピラ」が語源ってホント?

コラム

citrus 編集部

 

キンピラゴボウといえば、ゴボウを細く切って油で炒め、砂糖・醤油・お酒などで味をつけ、唐辛子で辛味をきかせた料理のこと。江戸時代中期の元禄時代に誕生したとされており、今でも食卓には栄養の面でも味の面でも欠かせない人気の家庭料理のひとつです。では、このキンピラゴボウの「キンピラ」とは、一体なにを由来とする言葉なのでしょう?

 

「キンピラ」は、どうやら元々人名から来ているのだそう。平安時代中期、源頼光(みなもとのよりみつ)の配下であった四天王の一人に坂田金時(さかたのきんとき)という武将がいました。彼の幼名は「金太郎」。おとぎ話や童話で有名な「まさかりをかついだ」、あと某CMでは俳優の浜田岳さんが演じている、あの金太郎です。そして、その坂田金時の子どもの名前が「坂田金平(さかたのきんぴら)」。彼は父にも増して強く勇ましい無頼な人物だったと聞きます。そんな坂田金平を主人公にした浄瑠璃が江戸時代初期には大流行。こういった経緯から、やがて強いものや丈夫なものを「きんぴら」と呼ぶようになりました。キンピラゴボウは歯ごたえが強く、強精作用のある料理とも言われていますよね。そんな「強い料理」だからこそ、「金平」にちなんで「キンピラゴボウ」と名付けられたわけです。

 

さて。「キンピラ」とは一文字しか違わないのに、ほとんど真逆の意味になる言葉に「チンピラ」があります。語源由来辞典によると、「チンピラ」とは、正確には「まだ一人前でもないのに大人ぶったり、大物を気取って偉そうな口をきいたりする者を軽蔑する用語」とのこと。

 

その語源は、子どもをあざけるときに使う大阪の方言「ちんぺら」が、いつの間にか「チンピラ」へと転じたという説。昔の隠語として「子どものスリ」を指し、それが現在の意味合いとして広く使われるようになったという説。それに、古くは中国の前漢時代、「陳平(ちんぺい)」という名の稀代の策士がおり、その陳平は品行が悪く、兄嫁と不義密通を行っていたことから、うさん臭い者を指す言葉として「陳平」が使われ、それが「チンピラ」へと転じたという説……などがあるようです。どの説が正しかろうが間違っていようが、いずれにせよ「キンピラ」と比べ、「チンピラ」は、あまり与えられて嬉しくない称号であることだけは間違いありません(笑)。ちなみに、チンピラを演じたら随一と筆者が評価している役者さんは、今だと綾野剛さん、一昔前だと断トツに柳沢慎吾さん……といったところでしょうか?

 

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