【SNSで話題】「霊柩車を見なくなったなあと思ってたら」その理由に「くだらない文句」「死は身近にあっていい」やむを得ない現代の葬儀事情も

コラム

citrus 編集部

 

葬送において遺体を移動させるために用いられる霊柩車(れいきゅうしゃ)。たしかに最近見なくなりました。それもそのはず、宮型霊柩車の製造は年々減少し、現在は約5000~6000台あると言われている霊柩車全体の1割程度しか存在していないのだそうです。

 

 

 

霊柩車といえば「親指を隠す」を実践してきた人も多いかもしれません。

 

「親指と爪の間から悪いものが入ってくるからだと聞いた」

 

「親指隠しって「親を連れて行かれない様に」だよね」

など諸説ありそうですが、今回、話題になっているのは「住民からのクレーム」という部分。

 

「クレームってどこにでも起きるんだな…」

 

「嫌なものは全部隠せばいい、ってことでもない気がするけど」

 

「何にでも文句を言う輩のせいで なくなる文化も出てきそう。 下らない文句に、NOと言い返して いい時代だと思う」

過度なクレームに懸念を抱く声が多く、霊柩車をクレームの対象とすることに違和感を抱く投稿が多数みられました。

 

「逆に死を意識する貴重な機会だと思います」

 

「立派で素敵なのになあ。俺は死んだらこれに乗りたい」

 

「保育所、幼稚園をうるさいとの理由で排除し、霊柩車を死を意識させられて嫌だと排除する…」

 

「死は身近で自然なものであるはず」

一方で、近隣住民のクレームに同情する声も。

 

「親指を隠すという言い伝えもあるように結構昔から「霊柩車=なんか嫌、不気味」というイメージがあって、それが時代を経てようやく表に出しやすくなっただけなのかもしれないですね…」

霊柩車はその形状から、遺体がのせられていることが明確に分かります。葬儀・お墓コンサルタントの吉川美津子さんによると、特に火葬場や葬儀式場近郊で暮らす住民にとって、その光景を目の当たりにすることに抵抗のある人も少なくないのだとか。

 

世相を反映し、宮型霊柩車の入場を規制する火葬場が急増しました。また葬儀式場が建設される際、近隣住民との間で「宮型霊柩車は使用しない」という約束を取り交わすケースもあり、宮型は堂々と街中を走ることができる環境ではなくなりました。

多様化、簡素化する現代の葬儀事情も考えると、華美を敬遠し、シンプルに送りたいという人が増えたことも影響していると考えられると吉川さん。

 

地域コミュニティが希薄化し、亡くなる人の高齢化もあって、葬儀は身内だけで送る家族葬や、火葬のみで済ます直葬(ちょくそう)が増え、華美を敬遠し、シンプルに送りたいという人が増えたためでしょうか。祭壇や棺の簡素化と同様、霊柩車にも簡素化の影響が出てきます。

地域で引き継がれている「習俗」が消えつつあることにも注目し、「有史以来、脈々と全世界で弔いの作業が行われているのはなぜかということを、改めて考えていくことが大切なのではないか」と述べています。現代の葬儀事情でやむを得ない部分はあるかもしれませんが、それがもし「クレームきっかけ」だとしたら、ちょっと寂しい気もしますね。