■シーマ・ガラハウ:やったことは確かに“悪女”、でも同情の余地ありな悲劇の人
まずは『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』から、連邦、ジオン間を行き来する“宇宙の蜉蝣(かげろう)”ことシーマ・ガラハウを紹介する。艶のある長髪に肩から羽織った大きな上着と真っ赤な軍服、そして手に持った扇子がトレードマークの女傑だ。
本作で大規模紛争を引き起こすジオンの残党“デラーズ・フリート”と手を結ぶ元ジオン軍のエースだが、その辛酸を嘗め尽くしたような表情から察する通り、現役時代に大虐殺などの汚れ仕事をやらされ続けた過去を持つ。それゆえ人を信用せず、自身と部下の地位回復のために両陣営間で暗躍したため、物語的には“悪女”の烙印を押された悲劇の人なのである。
■ニナ・パープルトン:ヒロインなのに評判最悪!! 終盤で見せたまさかの裏切り
ニナはシーマと同じく『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』に登場する、本作のヒロイン。モビルスーツを製作する巨大企業アナハイム・エレクトロニクス社の社員であり、本作に登場するガンダム試作機の担当エンジニア。ガンダム愛が強すぎる少しエキセントリックな女性だ。
そんなクセが強めの彼女の印象は、終盤から下降の一途をたどる。というのもクライマックス、地球へのコロニー落としが迫るなか、突如、敵であるガトーをかばい、過去にガトーと恋人関係にあったことを暴露。そして、あろうことか現恋人である主人公のコウに銃口を向け裏切ったのだ。だが、最後はぬけぬけとコウの元に笑顔で戻ってくるというメンヘラ悪女なのである。
■クェス・パラヤ:だらしない大人に振り回されて戦場をかき乱した恋する乙女
クェスは『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』に登場する13歳のニュータイプの少女。もともと直情的で情緒不安定気味の性格に加え、ファザコンで思春期真っただ中、おまけにアムロとシャア両方に恋をするという引っ掻き回しっぷりを披露。両者の恋人であるチェーン・アギやナナイ・ミゲルにギラギラした嫉妬を振りまいていた。
作中、シャアとの邂逅で彼に魅せられジオンに寝返り、結果としてパイロットとして戦争に利用されてしまう。しかも、初陣で知らないうちに父親を殺してしまい精神が不安定に。最後は全長100mを越える超大型モビルアーマーで大立ち回りを披露したものの、自身に好意を寄せていたハサウェイをかばい撃墜され、短い生涯を終えた。
■ネーナ・トリニティ:ストレス発散という理由で民間人を虐殺するサイコ美少女
ネーナは、戦争根絶を目的とした組織「ソレスタルビーイング」の活躍を描いた『機動戦士ガンダム00』に登場する赤毛の少女。ソレスタルビーイングに所属するガンダムマイスターであり、ヨハンとミハエルという二人の兄がいる。
その性格は自己中心的。加えて、世間知らずゆえに幼児的なところがあり、劇中では“呑気に楽しそうにしているのが気に入らない”という理由で、結婚式をしていた一般人を虐殺。その後も無軌道な残虐性で物語を掻き回したが、最後は先の事件の生き残りで復讐を誓った少女、ルイス・ハレヴィにコックピットもろとも貫かれて木っ端みじんになった。どうしてガンダムシリーズはこうも情緒不安定な子どもを兵器に乗せるのだろうか。
■カテジナ・ルース:突き抜けた暴走でカリスマと化したガンダム史上最高の悪女
『機動戦士Vガンダム』に登場するカテジナは、シリーズでも屈指の狂人キャラとして名高い存在だ。17歳のカテジナは、もともとは主人公ウッソの“憧れのお姉さん”的ポジションであり、ウッソたちと行動をともにする仲間だった。が、紆余曲折あり敵であるザンスカール帝国の軍人クロノクル配下のMSパイロットとなり、その才能を開花させてゆく。
軍内でもかなりの階級にのし上がると同時に、犯してきた罪に正論をぶつけてくるウッソに憎しみを募らせていく。ウッソをおとしめるために水着姿の部下に生身で攻撃を仕掛けさせるなど、常軌を逸した戦法で主義主張もなく暴れ回るカテジナは、最終的にウッソの乗るV2ガンダムの光の翼を目撃し失明してしまう。戦後は廃墟となった故郷をあてもなく絶望の表情でさまようという、哀れな末路を辿った。
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