■コーヒーの始まりって?
コーヒーの起源として語られている説はたくさんあるのですが、とりわけ有名なのが、大昔エチオピアの奥地に暮らしていたヤギ飼い少年のエピソードです。
ある日少年は、赤い木の実を食べたヤギが、夜を迎えても静まらないほど興奮して、飛び跳ねているのを見つけます。そこで少年も、試しに赤い実を食べたところ、みるみるうちに気分が爽快になったそうです。
眠気に悩んでいた修道僧がこれを聞き付け、赤い実を試してみたところ、修行の眠気覚ましに大変重宝したのだとか。この話が、赤い実をさらに広めるきっかけとなり、遠くの国まで赤い実の噂が届くようになりました。
そう、この赤い実こそが、コーヒーの実だと言い伝えられているのです。ちなみに、このヤギ飼い少年の名前はカルディ。コーヒーと輸入食品のチェーン店「カルディコーヒーファーム」の名前はここから来ており、お店でお馴染みとなっているイラストは、この物語を表しているそうですよ。
■コーヒー豆は「豆」じゃない?
コーヒーの赤い実ですが、その実物を見たことのある人は少ないかもしれません。見た目がサクランボに似ているため、「コーヒーチェリー」とも呼ばれているこの実の種が、コーヒー豆となるのです。
つまり、コーヒー豆は“豆”ではなくて、“種”なんですね。赤く変色した実を収穫した後、洗浄や脱穀といった工程を経て、生豆という状態に精製された種が、コーヒー豆として日本に運ばれてきているのだとか。
一本の木から採れるコーヒーの実は、約3kgと言われています。そこから、取り出した種を焙煎し生豆にすると、およそ400gまで減ってしまいます。一杯のコーヒーには、約10gのコーヒー粉を使用するので、その量では、たったの40杯ほどにしかならないとのこと。一日に数杯コーヒーを飲むというコーヒー好きは、一か月で一本のコーヒーの木から採れる実以上の量を消費しているのですね。
■最高級豆はフンから採れるって本当?
数あるコーヒー豆のなかで、最も高価だと言われている「コピ・ルアク」は、ジャコウネコのフンから収穫されます。
フィリピンやインドネシアに生息しているジャコウネコは、コーヒーの実を食べるのですが、飲み込んだ種は消化されないまま体内で発酵し、そのままフンとして出てきます。これを水洗いして焙煎すると、非常に香り高いコーヒー豆となるのだとか。
現在では、世界一高級なコーヒー豆として愛好されている「コピ・ルアク」ですが、人気が高まったことで、ジャコウネコを飼育してコーヒー豆を採ろうとする人も増えているそう。なかには、劣悪な環境でジャコウネコを飼う業者もいるようで、動物愛護の観点から、大きな問題となっているそうですよ。