【全店制覇ジロリアンの二郎日記・番外編】二郎“スピンアウト系”の正体とは…!?

コラム

宮元大地

画像はイメージです

 

■看板には「インスパイア系? NO! 『スピンアウト系』なんです!」という主張が…

 

男たちを惹きつけるガッツリ系ラーメンの元祖といえば、首都圏を中心に約40店舗を構える『ラーメン二郎』。

 

何を隠そう、筆者も二郎に魅了され、全店舗を毎年最低1回は巡礼している“ジロリアン”の一人だ。

 

そんな筆者だが、実際のところは「ラーメンは絶対に二郎しか食べない」というわけではなく、二郎をマネした“インスパイア系”の店舗に行き、気分転換していることもしばしば……。

 

 

しかし今年の7月、インスパイア系ではなく“スピンアウト系”を標榜する新店舗が東京・下北沢にオープンし、ジロリアンたちの熱視線を浴びている。

 

その名は『らーめん玄』(東京都世田谷区)。店主さんは、本家二郎の『目黒店』(東京都目黒区)で11年もの間、助手さんを務めていたという。目黒店は二郎のなかでも回転が早いイメージだし、その慌しい環境でずっと揉まれてきたと考えれば、店主さんの実績は折り紙つきといえるだろう。

 

10月某日に目黒店で食事をする機会があった筆者は、その数日後にらーめん玄へ。舌が目黒店の味をまだ記憶しているうちに、らーめん玄と比較してみたくなったのだ。

 

土曜の夜に訪問すると全8席のカウンターは全て埋まっており、店内に2名、店外にも2名の待ち客がいた。外にある券売機で「小の小らーめん」(麺200g、豚1枚、650円)のボタンを押し、最後列に並ぶ。一番スタンダードなメニューは「小らーめん」(麺300g、豚2枚、750円)だが、あいにくこの日は、いつもほどはお腹が空いていなかったのである。

 

―しばらくして、筆者も着席。ここの店主さんは確かに目黒店で見覚えがあるし、厨房の奥にはオーションの袋を確認できた。オーションというのは二郎の麺に使われている、日清製粉の強力粉。二郎と同じ小麦粉を採用している時点で、無条件に期待できるというものだ。

 

また、店内掲示によれば、無料トッピングは二郎標準のニンニク、ヤサイ、アブラ、カラメに加え、目黒店にはないラー油も頼めるとのこと。せっかくなのでお願いすると、液状のラー油が小皿で提供された。これは食事途中の“味変”に活用しよう。

 

では、肝心のラーメンについてはどうか。油膜が張っているのが目に見えてわかるスープは、先日食べた目黒店と類似したビジュアルだが、目黒店よりも透明感があり、平打ちの太麺がのぞいていた。すすってみると、ゴワっとした食感とともに小麦粉の旨みが口内を満たし、目黒店のDNAを感じる。

 

また、豚は目黒店に比べると大ぶりで、赤身がしっとり。総合的に判断すると、らーめん玄は目黒店の単なるコピーではなく、かといって、目黒店とはまったく別物というわけでもないようだ。これがインスパイア系ならぬ、スピンアウト系の意味……?

 

らーめん玄から歩いて行ける距離には本家二郎の『環七新新代田店』(東京都世田谷区)もあるが、どちらも仲良く棲み分けしていけそうな気がする。スピンアウト系という言葉は今後、どれだけ浸透していくのだろうか。

 

※本記事の情報は2019年10月下旬時点のものです。