【朗報】いくら玉ねぎを切っても泣かずに済む時代は、もうすぐそこ?

コラム

後藤拓也

 

■玉ねぎの歴史

 

西アジアが原産地ではないかと言われている玉ねぎは、紀元前27~25世紀頃のエジプトではすでに栽培がされていた記録が残っているという、非常に長い歴史を持つ野菜です。その当時には、ピラミッドを建設する際の報酬として、労働者たちに配給されていたのだとか。

 

古くから疲労回復などの高い健康効果で知られ、世界各地で重宝されてきた玉ねぎですが、江戸時代に日本へと伝来した際には、観賞用にされてしまったそう。やはり、独特な臭いを持つ馴染みの薄い植物ということもあり、なかなか受け入れられなかったようです。

 

日本において、玉ねぎが本格的に定着したのは、明治以降だと言われています。そのきっかけのひとつとして知られているのが、明治初期に関西地方で流行を見せていたコレラ。致死率と感染性の高いこの恐ろしい病に、玉ねぎが効くらしいという噂が広まったのがきっかけで、飛ぶように売れ始めたとのことです。

 

実際のところ、玉ねぎにコレラ対策となるような成分が入っているわけではありません。つまり単なるデマだったわけですが、これにより、それまで食わず嫌いされていた玉ねぎを、多くの人が口にすることとなりました。いざ食べてみれば、すでに食卓でお馴染みとなっていたネギに似ているということで、食生活に取り入れられていったそうです。

 

 

■切っても涙が出ない玉ねぎがある!?

 

こうした過程を経て、日本に定着していった玉ねぎ。現代では、すっかり家庭料理に欠かせない食材となったわけですが、一方では、私たちを悩ませ続けている問題も……。それは、玉ねぎを切ることで空気中に放出される成分により、目が痛くなって涙が出てしまうことです。

 

レトルトカレーなどの商品で有名なハウス食品は、1990年代から玉ねぎについて研究していたと言います。さまざまな角度から、長年にわたって玉ねぎを研究していたところ、目の痛みの原因となる成分を生み出す酵素を発見し、成分が生成される仕組みを解明したのだとか。

 

2002年に、世界的な科学誌『Nature』へと発表されたこの研究を元に、切っても涙が出ない玉ねぎの開発をスタート。酵素の働きが弱い玉ねぎを作るためには、1万個近い玉ねぎを育てて収穫し、成分をチェックする必要があったらしく、10年近い開発期間を要したそうです。

 

そうして生まれた「スマイルボール」は商品化され、2015年より販売されています。この玉ねぎ、包丁を入れても涙が出ないどころか、辛みもほとんどないそうで、生のままで丸かじりもできてしまうのだとか。

 

残念ながらまだまだ知名度は低く、市民権を得てはいませんが、数年~十数年後には、玉ねぎを切っても目が痛くならないというのが当たり前になっているかもしれませんね。