■トヨタ スプリンタートレノ AE86型:通称“ハチロク”、主人公・拓海の愛車
まずは、本作を代表する名車であり、“ハチロク”の愛称でも知られる「トヨタ スプリンタートレノ AE86型」を紹介したい。
「トヨタ スプリンタートレノ AE86型」といえば、トヨタ自動車が生産していたスポーツクーペシリーズ「スプリンタートレノ」の4代目。チューニングしやすい車としても知られている、トヨタの名車のひとつといえる車種だ。
『頭文字D』の主人公・藤原拓海は、家業である豆腐屋の配達の手伝いで鍛えた驚異のドライビングテクニックで、劇中の90年代ではすでに「古くて遅い」印象もあった“ハチロク”で、並み居る強敵を打ち負かしていった。現実世界では本作のイメージで人気が再燃し、現在は中古車でもその値段が高騰している名車となっている。
■マツダ サバンナRX-7 FC3S型:主人公のライバルであり師匠とも言える男の愛車
次は、主人公・拓海のライバルであり、冷静沈着でクールな性格ながら公道最速への飽くなき執念を燃やす、高橋涼介の愛車「マツダ サバンナRX-7 FC3S型」を紹介したい。
「マツダ サバンナRX-7 FC3S型」は、マツダが開発していた同社の代表的なスポーツカーである“マツダ・RX-7”シリーズの2代目。名スポーツカー「ポルシェ944」の庶民派として「プアマンズ・ポルシェ」と揶揄されることもあったが、最高速度などではかなりの好成績を叩き出している。
13B-T型ロータリーエンジンの強力な馬力に加え、テールが暴れやすいという特徴を持った玄人向けの車ながら、劇中で涼介は抜群のドライビングテクを披露。群馬最強最速と言われる「赤城レッドサンズ」のリーダーとして、拓海と名勝負を演じたのだった。
■日産 シルエイティ:碓氷峠最速の女走り屋コンビ“インパクトブルー”の愛車
最後に紹介するのは、拓海の前に立ちはだかった強敵のひとりでありながら、そのビジュアルと走りの腕前が評判となり、『インパクトブルーの彼方に…』という外伝まで作られた人気キャラ・佐藤真子の愛車「シルエイティ」だ。
「シルエイティ」というのは通称で、これは「シルビア S13」のフロントパーツ一式を、「180SX」に移植した車を意味している。日産のクーペ型乗用車であった「180SX」と日産のシルビアの5代目である「S13」は姉妹関係。とあるチューニング愛好家が「180SX」が破損した際に「シルビア S13」の前部を流用したのが始まりだという。後に正式な車種としての「シルエイティ」も1998年に登場しているのだ。
劇中では碓氷峠最速の異名を持つ佐藤と、彼女のナビである沙雪のコンビが乗車。普段は清楚可憐でありながら、ハンドルを握ると性格が変わり豪快なドライビングを披露する佐藤が、走り屋引退の一戦として勝負を挑んだのが拓海。結果は佐藤が敗北するのだが、そのときの拓海のテクニックに感銘し、走り屋の道を再び歩み出すこととなったのである。