君は本当のアル・パチーノを知っているのか? 名優“アル・パチーノ”映画3選

コラム

TND幽介

 

■『ゴッドファーザー』:映画史に残る、マフィア映画の金字塔!!

 

パチーノ映画を語る上で外せないのは、『ゴッドファーザー』3部作だろう。イタリア系アメリカ人のマフィア一家の栄光と挫折を、重厚な映像・音楽、そしてパチーノをはじめとする名優たちの迫力の演技をもって見事に描き切った名作だ。

 

舞台は第二次大戦直後のニューヨーク。5大ファミリーで最大の勢力を誇るコルレオーネ家のボス・ヴィトーは、自身が禁じていた麻薬の取引を、業界の一角を担うタッタリア家から持ちかけられるも、これを固辞。そして、邪魔者を殺そうと報復に出たタッタリア一派の襲撃で、ヴィトーは重症を負ってしまう。そんななか、ヴィトーの子どもで一人カタギだった三男のマイケルは、父への復讐のために裏社会入りを決意し……というのがあらすじ。

 

はじめは優しそうな眼差しをしていたマイケルだったが、七転八倒しながら業界で頭角を現していくにつれ、その瞳には冷徹さと怖さが備わっていく。そんな様子をパチーノは見事に演じ切り、アカデミー助演男優賞にノミネートされた。

 

 

■『スカーフェイス』:パチーノ映画における、もう一つのマフィア映画の傑作!!

 

次は1983年に公開され、名匠ブライアン・デ・パルマ監督が、あるマフィアの野心と破滅を荒々しく描いた傑作『スカーフェイス』だ。本作は、1932年の古典的ギャング映画『暗黒街の顔役』を現代風にリメイクした作品でもある。

 

時代設定は1980年。キューバから追放され、アメリカ・マイアミの難民隔離施設に収容された若き犯罪者、トニー・モンタナ。相棒のマニーとともに、麻薬王だったフランクの寵愛を受け、裏社会でグイグイとのし上がっていくが、彼の栄光の日々は思わぬことで崩れていく……というストーリーだ。

 

組織の収入源であるコカインをさばきながら、自身も麻薬にはまり、常に情緒不安定なトニー。パチーノの危うく狂気的な演技は、そうしたトニーの弱さを上手く表現している。ラストに、追い詰められたトニーが追っ手たちに向かってマシンガンを撃ちまくるシーンは、パチーノの破滅的な演技と相まって、脳に焼きつく強烈さだろう。

 

 

■『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』:盲人役を、瞬きひとつしない驚異の演技で熱演!!

 

最後は1993年公開の感動作、『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』だ。硬派かつクレイジーな役が多かったパチーノだが、本作では、気難しいながらも根は心優しい老人を好演し、念願のアカデミー主演男優賞を受賞している。

 

あらすじはこうだ。ボストンの名門全寮制学校に通う苦学生のチャーリーは、とあるきっかけで、盲目の退役軍人スレード中佐の面倒を見るアルバイトを始めることに。最初はなかなか折り合いがつかなかった2人だが、チャーリーの献身的な態度に、中佐の心は徐々に開いてゆく…。

 

盲目という設定ゆえに、パチーノはなんと、一度も瞬きをしないという狂気の演技メソッドを披露。彼のなりきり演技の甲斐もあり、終盤になってチャーリーの危機を中佐が救ってくれる名シーンは、思わず涙してしまう感動の出来に仕上がっている。