この記事では、海産物のトリビアを3つまとめてご紹介します。禁止されていたふぐ食を解禁した歴史上の人物とは? 甘エビが甘いのはなぜ? サンマが内臓まで美味しい理由は? 読めばきっと、誰かに話したくなるはず!
■ふぐを解禁した有名人は?
日本におけるふぐ食が始まったのは約2万年前と言われていて、縄文時代の貝塚からも、ふぐの骨が見つかっているとのこと。当時から、習慣的にふぐを食べていたと考えられているそうです。
しかし、ふぐ中毒による死亡者が後を絶たなかったことから、室町時代以降にはしばしば、「ふぐ禁止令」が出されることに。極めつけは豊臣秀吉の時代で、ふぐを食べて倒れる家来が相次いだことから、秀吉がふぐ食を固く禁じる事態となりました。
このお触れによって、ふぐ食は厳しい取り締まりの対象となります。江戸時代には、ふぐを食べたらお家断絶という、厳格な罰則が定められたこともあったのだとか。明治時代になっても続いていたこの禁令を解いたのは……、あの初代総理大臣・伊藤博文でした。
博文が下関の料亭を訪れた際、シケで提供できる魚がなかった女将は、咎められることを覚悟でふぐ料理を出したそう。すると、これが博文に大好評。これほど美味しいものを禁止しておくのはもったいないと、山口県知事に命じて県内の禁止令を解かせたそうです。これがきっかけとなり、ふぐ食が全国にも広まることとなったんだとか。
■甘エビが甘いのは?
甘エビと呼ばれているあの海産物は、その正式名称を北国赤海老と言います。タラバエビ科に属していて、北太平洋、北大西洋に広く分布、世界各地で多量に収獲されている甲殻類です。
甘エビという通称の通り、口にしたときの甘味が特徴となっていますが、実は、獲れたて新鮮の甘エビは甘くないそう。しかし、獲ってから一日が経つと、ちゃんと甘くなるのだとか。
甘エビの甘味の主体はアミノ酸で、なかでもグリシンという成分がメイン。獲って一日が経過すると、このグリシンが増量する……というわけではなく、甘味成分を長い間舌の上にとどめてくれる“とろみ”が一日経つとエビの身から出てくるので、甘く感じるそうです。
このとろみの正体は、甘エビの筋肉が分解されたもの。生きている間は、エサを分解するために持っているタンパク質分解酵素が、自分自身を消化してしまうのですね。甘エビの生息する深海は低温で、タンパク質分解酵素の働きが悪くなるので、他のエビに比べて多くの酵素を持つ必要があり、これが特有の甘味につながっているそうです。
■サンマの内臓が美味しいのは?
秋の味覚の代表格であるサンマは、「無胃魚」という胃を持たない魚。なので、エサを食べると十数分で消化・排泄してしまいます。さらに、サンマが獲られるのは夜。プランクトンを日中に食べ、夜になると何も食べないサンマのほぼ空になった内臓には、ほとんど苦みがないのだとか。
この苦みのない内臓に、適度なアクセントを加えてくれているものがあります。それが、胆のうの胆汁。苦いけど苦すぎない、適度にほろ苦い胆汁のおかげで、内臓が美味しく食べられるそうですよ。