『勇者王ガオガイガー』など…彼を知らずにアニメを語る気!? 米たにヨシトモ監督作品

コラム

citrus ダン・アオキ

 

近年では、週刊少年ジャンプで人気を博した料理漫画『食戟のソーマ』のアニメで、活躍されている米たにヨシトモ監督。今回は米たに監督のオリジナルアニメ3作品を紹介。アニメ演出以外の仕事についても触れていく。

 

 

■迫力のメカ描写とバトルが見所『勇者王ガオガイガー』[1997年]

 

90年代に人気を博したロボットアニメ「勇者シリーズ」の第8作。宇宙からやってきた少年「天海護」と、巨大ロボット「ガオガイガー」を駆るサイボーグの青年「獅子王凱」が、宇宙から襲い来る敵との人類存亡をかけた戦いに挑む。

 

本作ではディテールに拘ったメカ描写と、戦闘シーンの緊迫感に重点が置かれた。緻密なメカニックの作画や演出、持てる戦力や知恵を振り絞っての攻防戦のカタルシスは支持を集め、現在でも続編が制作されるほどの人気作となっている。

 

本作において米たに監督は、主題歌と挿入歌の作詞も手掛けている。特に主題歌である『勇者王誕生! 』は、一度聴いたら忘れることができない絶大なインパクトを誇る楽曲となっているのである。

 

 

■怪獣+美少女+SFホラー=『ベターマン』[1999年]

 

普通の高校生「蒼斧蛍汰」は、幼馴染の「彩火乃紀」との思わぬ邂逅から、謎の突然大量死現象「アルジャーノン」の調査に関わることとなる。ふたりに襲いかかる危機に立ち向かう生命体「ベターマン」とは何か? アルジャーノンの真相とは…? 多くの謎をはらんで、物語は進んでいく。

 

ミステリー的な面白さだけでなく、ホラーテイストや怪獣映画の要素も盛り込まれた本作。一見すると煩雑な印象を抱くかもしれないが、どの要素も見事に調和が取れており、様々な角度から何度も味わうことができる、ある意味でゴージャスな作品になっている。

 

本作で米たに監督は、エンディングテーマの作詞・作曲だけでなく、なんと別名義で歌唱も担当! 力強く歌い上げてもいるのだ…! また、先述の『勇者王ガオガイガー』と同じ世界観の物語となっているため、両作のリンクに注目してみるのも面白い。

 

 

■少女と生体兵器の純愛『BRIGADOON まりんとメラン』[2000年]

 

舞台は大阪万博の開催を控えた昭和の日本。東京・下町の長屋に暮らす少女「浅葱まりん」はある日、生体兵器「メラン・ブルー」と出会う。そこからまりんとメランの、奇妙にして壮絶な、しかしかけがえのない日々が始まった。

 

地球と異世界「ブリガドーン」の存亡の危機が背景に存在する本作だが、軸となるのはまりんとメランのラブストーリー。ブリガドーンから送り込まれる生体兵器との戦いや、まりんの身に起こる苦難を通じて、まりんとメランが深く心を通わせていく過程が丁寧に描かれた。

 

米たに監督の作品では、サブキャラクターを演じる声優が、また別のサブキャラクターを演じるという配役がたびたび行われる。しかし、本作ではその意表を突いてある重大な仕掛けがされているのだ。その秘密は最終回に明かされるため、ぜひ声にも注意して作品を観賞してみてほしい。