人型兵器モビルスーツ(以下MS)を使った戦争を描いてきた『機動戦士ガンダム』シリーズ。だが、シリーズにはMS以外に戦局を大きく変えた大量破壊兵器が数多く登場してきた。今回はそんな戦略兵器を紹介したい。
■ソーラ・レイ:コロニーを丸ごと改造した“憎しみの光”こと超巨大鬼畜レーザー兵器
まずは、『機動戦士ガンダム』の最終局面で登場した「ソーラ・レイ」を紹介したい。戦争終盤、貧困層が住む宇宙コロニー“マハル”の住民、約300万人を強制疎開させ、コロニーそのものを砲身に転用した超巨大レーザー兵器が「ソーラ・レイ」である。
太陽光を使ってエネルギーを充填し放つレーザーの威力は強力無比そのもの。地球連邦軍との和平交渉に赴いていたジオンのデギン公王や、総司令官であるレビル将軍を含む連邦軍艦隊の3分の1を一瞬にして焼き払ったのだ。
徹底抗戦の構えを貫いたギレン・ザビ総帥が、自身の父であるデギン公王殺害に使った兵器でもあり、この使用が遠因でキシリアのギレン暗殺が起きるなど、ジオン軍の内部抗争に拍車をかけてしまった兵器でもある。発射直後、近くにいたアムロが叫んだ「あれは憎しみの光だ!」という台詞はあまりに有名。
■エンジェル・ハイロゥ:全人類を眠らせ、安楽死させるという恐怖の超兵器
次は、『機動戦士Vガンダム』から、物語終盤に登場した、ザンスカール帝国の最終兵器「エンジェル・ハイロゥ」を紹介しよう。ニュータイプの発する特殊な脳波を利用したサイコミュ兵器であり、2万人のサイキッカーを内蔵し、彼らの発する強烈なサイコウェーブによって、地球上の人類を眠らせ、安楽死に追い込むという静かなる虐殺兵器だ。
ザンスカール帝国の宰相であるフォンセ・カガチらの掲げる、人類はこれ以上の醜態を晒すことなく地球から去るべき、という理念の元に作られた「エンジェル・ハイロゥ」。核となる戦艦とその真ん中に座する「キー・ルーム」を中心に、サイキッカーが眠る5重のリングが回転し、キー・ルームで祈る“女王”の意思を増幅する形でサイコウェーブが発せられるというもの。
劇中では、ヒロインであるシャクティが、兵器の真の使用目的を知らされずに女王として利用されかけてしまう。しかし、彼女の戦争を終わらせたいという願いによって、浄化の光“ウォーム・バイブレーション”が発生。エンジェル・ハイロゥ本体は分解されながら宇宙の果てに消え去ったのだった…。
■ジェネシス:“人間ポップコーン製造機”と化したおぞましすぎる電磁波兵器
最後に紹介するのは『機動戦士ガンダムSEED』の終盤に登場した、巨大なマイクロウェーブ照射装置である「ジェネシス」だ。「創世」を意味するこの戦略兵器は、超巨大な水盆を思わせる本体と、使い捨てでエネルギーを本体に照射するミラーブロックの二つで構成されている。
物語終盤、ナチュラルたち地球連合軍に向けて、ザフト軍を率いるパトリック・ザラ議長の一声で発射されると、射線上にいる無数の連合艦隊やMSたちは高温で爆散。第二射では、月面基地にいる数多の人たちがその激烈なガンマ線で、いわば超強力な電子レンジのなかにいる状態になり、ポップコーンが破裂するかのごとく爆散するという、ガンダム史上でも類を見ない惨状を披露した。
放送当時、土曜夕方にTVの前で視聴していた多くの少年少女に、深いトラウマを植え付けた恐ろしい兵器と言えるだろう……。