コンビニやスーパーのドリンク棚でよく見かけ、定番商品になっている緑茶飲料『生茶』。他の緑茶飲料にはない独特な風味が特徴的ですよね。今回は『生茶』の開発に至った経緯や、現在までに行ったリニューアル等の軌跡をご紹介します。
■開発に至るまで……決め手は“テアニン”という旨み成分
1980年代当時、世間一般ではお茶と言えば「家庭で淹れて飲むもの」という通念が浸透しており、コンビニなどでわざわざ買うものではないというイメージがありました。1985年に国内で初めて缶に入れられた緑茶(煎茶)が登場して以降、清涼飲料水メーカー各社は缶入り緑茶を発売しましたが、今ほど自動販売機やコンビニなどで簡単に手に入るものではありませんでした。
しかし1990年代になると、メーカーも徐々に緑茶飲料にこだわりを見せ始め、苦みや渋みを研究するようになっていきます。そんななか、キリンビバレッジはそうした「苦み」と「渋み」一辺倒な思考に疑問を持つようになり、「顧客が求める味わい」にアプローチすべく、新しい緑茶飲料の開発に着手したのです。
開発が進むなか、お茶の“テアニン”という旨み成分に注目が集まります。旨みや甘みをもたらしてくれるアミノ酸の一種であるテアニン。キリンビバレッジはこの“テアニン”を多く含む玉露や冠茶(かぶせ茶)の茶葉を使用した緑茶飲料を思いつき、そこに生茶葉抽出物を加え、従来にはない味わいの緑茶飲料が生まれました。それが『生茶』というわけです。
■『生茶』発売開始! ネーミングに隠された工夫とは?
2000年3月、いよいよ『生茶』が発売されます。『生茶』はその年の清涼飲料市場最大のヒットを飛ばし、緑茶ブームの火付け役となりました。それまでの緑茶飲料は、お弁当と一緒に販売される=食事に合せる、という役割を担うのみでしたが、ようやく味わいそのものを楽しむ飲料として広く愛されるようになったのです。
また、『生茶』は、味だけでなくネーミングにも注目が集まりました。それは、生茶葉抽出物を加える新製法を用いていることから付けられた“生”というネーミングです。生ビール・生ハム・生チョコなど、当時ヒットしていた食品の“生”という響きに、美味しさのイメージがあると踏んで生まれた発想でした。
■時代に合わせてリニューアル! これからも続く探求と進化
世に浸透していった『生茶』ブランドは、それ以降も進化をし続け、2009年にはカフェインを50%軽減した『キリン やわらか生茶』が発売。また2014年にはペットボトル緑茶飲料としては世界初となる“カフェインゼロ”緑茶の『キリン やさしさ生茶カフェインゼロ』が発売され、緑茶飲料界に革新をもたらし続けていったのです。
しかし、需要が広まるなかで市場における『生茶』へのイメージは「カジュアルに喉の渇きを癒すもの」に次第に変化していきます。そこでキリンビバレッジは改めて「嗜好品としての緑茶」というテーマを掲げ、2016年にフルリニューアルを実施。低温で茶葉を抽出した後に微粉砕茶葉を加え、緑茶が持つ良さをまるごと閉じこめることに成功しました。こうして『生茶』は「Rich Green Tea」というメッセージを記したラベルとともに生まれ変わりました。止まることなく変化を続けて来た『生茶』。これからもその探求と進化は続いていくことでしょう。