床屋さんの前を通ると目に入るあのクルクルと回っているもの。ちゃんとした名前もついていて、「サインポール」といいます。このサインポールは、日本特有のものではなく世界の至るところで使われています。
サインポールの由来は諸説あるのですが、最も有力とされているのは中世ヨーロッパで行われていた瀉血(しゃけつ)から来ているという説です。瀉血というのは、悪い部分の血を抜きとる治療法のことで、当時の外科医は理容師を兼ねていることが多く、理髪外科医(りはつげかい)と呼ばれていました。
患者の腕を棒で固定し、抜いた血が受け皿に落ちていく仕組みでしたが、血を目立たないようにするため、その棒を赤く塗っていました。瀉血が終わった後、洗った赤い棒に白い包帯を巻いて店の軒先に干していた様子から、赤と白のポールを看板として使うようになりました。青が加わったのはその後で、理容師と外科医をはっきりと役割分担をする時代になった際に、外科医は赤と白の2色、理髪店は赤白青の3色になったと言われています。
この他に「赤は動脈、青は静脈、白は包帯を表す」という説もありますが、動脈と静脈があるということが発見されたのは17世紀のことで、サインポールはその前からあったため真偽のほどはたしかではありません。
日本では明治初期に横浜にはじめて理髪店ができましたが、その当時から赤白青3色のサインポールが使われていました。いまでは定番の赤白青以外にも、緑やオレンジなどさまざまな種類のものがあります。