発行部数は約5000万部を誇り、アニメ化や実写ドラマ化もされた人気漫画『GTO』。
元不良の主人公・鬼塚英吉が教師を志すところから物語は始まり、さまざまな出会いを経て晴れて教師に。『GTO』は、そんなグレートティーチャー鬼塚(G.T.O)が学校で数多くのトラブルを巻き起こしつつも、クラスが抱える闇や生徒の悩みを鬼塚なりのやり方で解決していく、という学園ストーリーです。
そして、鬼塚が赴任した東京吉祥学苑では、生徒が抱える問題も深刻ながら、教師にも多くの問題が…。今回は、その吉祥学苑で教鞭をとる悩ましい変態教師を一人一人振り返っていきましょう。
■【内山田教頭:痴漢常習犯】当初は立派な教育者を目指したはずが…
鬼塚が吉祥学苑の採用面接に向かう途中で出会ったのが、バスのなかで痴漢をする内山田教頭。まさか自分がこれから面接をしに行く学校の面接官とは知らず、内山田に頭突きの制裁を加えてしまう鬼塚。二人の因縁――というより内山田の一方的な因縁は、ここから始まっていきます。
鬼塚が吉祥学苑の教師になってからも、手クセのように痴漢をし続ける内山田。いつものように満員電車内でしていると、潜入していた警官に腕を抑えられ現行犯逮捕の危機に。そして、警官からは逃げられたものの、途中でカバンを落としてしまいます。その場面を目撃した鬼塚は、カバンを警官から奪取し、学校内で内山田に渡してあげます。内山田は胸をなでおろしながらも「こんな屈辱を受けたのは初めてだっ!!」と逆恨みするのでした。
そんな変態かつ支離滅裂な内山田ですが、はじめは、もちろん痴漢をするために教育者を志したわけではありませんでした。内山田の父親は陸軍学校の教育者で、そんな夫の存在を誇りに思っていた母親は、夫が亡くなってからも、息子に夫の意志を継いで教育者になってもらいたいという夢を抱いていたのです。
その後、病に倒れた母親は、無事に教師になることが出来た息子にだけは元気な声を振る舞い、「私はいいから生徒のそばにいてあげなさい あなたは教師なんだから」と息子を諭しました。内山田は立派な教師になるために、親の死に目にも会わずに、涙を流しながら教鞭をとったのです。
それが、いつしか初心を忘れ、痴漢常習者に堕ちてしまったことは残念でなりませんし、そういう背景があったとしても、当然痴漢は決して許される行為ではありませんね。
■【桜井先生:トイレ盗撮魔】学生時代にいじめとのぞきを経験し、その性癖を開花
盗撮が趣味の英語教師・桜井先生。靴のなかに小型カメラを仕込み、電車内で女性のスカートのなかを盗撮した映像を、ヘッドセット型の専用モニターを目元に着けてリアルタイムで鑑賞するという、かなりふてぶてしい盗撮魔です。
また、校庭脇にある“幽霊トイレ”と呼ばれる汲み取り式トイレのなかに、防護服と酸素マスクを着けて侵入するという蛮行も。それは結局生徒にばれてしまい、通報されて駆けつけてきた警察に追われるという絶体絶命のピンチを迎えますが、なんとか逃亡に成功。
そんな桜井は、中学時代にいじめられていて、鼻の穴が大きいという身体的特徴から“コンセント”というあだ名で呼ばれ陰口を叩かれていました。ある日、彼が人気のない体育館脇にある古いトイレの個室内で読書しながら体育をサボっていると、彼の憧れの美智子さんが隣の個室に入ってきます。
そこではじめてのぞきをした彼は、謎の優越感と達成感に包まれ、その性癖を開花させます。“幽霊トイレ”での盗撮も、いっそ警察に捕まっていたほうが彼の更生のためにもなっていたでしょうが、悪運だけは強いのでした。
■【勅使河原先生:冬月先生のストーカー】拉致監禁の末、銃を乱射し逮捕
東大卒のインテリ教師・勅使河原先生は、同じ職場の冬月先生に好意を抱き、ストーカー行為を始めます。その行為はだんだんエスカレートしていき、しまいには冬月の意識を奪って自宅に誘拐してしまいます。
異変を察知し、冬月が誘拐されたことに気づいた鬼塚一同は、なんとか犯人が勅使河原であると突き止めます。それでも偽装しようとする勅使河原は、追い詰められてなんと逆上。破壊行為や傷害行為に走る事態に。その後、実兄の登場や鬼塚の説得によって何とか気分を落ち着かせた勅使河原は、改心して出頭します。
なぜ勅使河原は冬月に対して屈折した愛情を抱き、ここまでの凶行を振るってしまったのか。それは彼の家庭環境に一因がありました。官僚の父を持つ勅使河原は、幼い頃から英才教育を施されるものの、その親の期待に応えられず鬱屈とし始めます。同時に、クラスでもいじめられていくことに。
その後、国家公務員試験に挫折し、教師になって生徒を見下ろすことで心のバランスを保っていた勅使河原は、冬月に出会って恋に落ちます。それから一方的な妄想を育み続け、犯罪行為を行うにまで至ってしまったわけですが、最後には“自分に勇気がないだけだった”と過ちに気づくことができたのでした。