連載終了から約20年が経ってアニメ化された人気漫画『寄生獣』。全10巻（オリジナルコミックス）という短さながら、発行部数は2400万部を超え、今なお根強いファンに愛され続けている作品です。
普通の高校生である主人公・泉新一（シンイチ）は、突然地球に来襲した寄生生物に右手を乗っ取られてしまい、ミギーと名付けたその生き物と共生することに。そして、頭部を乗っ取って人間を完全に支配した寄生生物たちとの戦いを余儀なくされ、シンイチはそのなかで徐々に強くなり成長していく、というストーリー。
そんな『寄生獣』のミギーは、シンイチに対して「わたしは自分の命だけを大事に考えている」と言い放ち、寄生生物なだけに、あくまで“宿主だからシンイチには協力的でいるだけ”というスタンスを主張します。
しかし、そんなクールな部分とは裏腹に、ときにはシンイチの心の支えになり、また、道を示してくれるような場面も。そんな史上最高のツンデレ寄生生物・ミギーの“デレ”あふれるシーンを改めて振り返っていきましょう。
■寄生生物に胸を刺されたシンイチ、ミギーの尽力によって復活
旅行に出かけたシンイチの両親は、不運なことに旅先で寄生生物に襲われ、母親が寄生生物に乗っ取られるという悲劇に見舞われます。命からがら逃げだした父親は、シンイチへ電話。その緊迫した様子と支離滅裂な報告を受けたシンイチは、ひどくうろたえます。“家族に全てを打ち明けていれば、こんな事態にはならなかった”と後悔し、ミギーを含めた寄生生物の存在に改めて強い敵意を抱くことに。
さらに、母親の姿をした寄生生物は自宅にやってきます。しかし、シンイチは母親が寄生生物に乗っ取られたという事実を受け止められず、激しく動揺。そして、「シンイチ！目をさませ！きみの母親はもう…」と諭すミギーすらもシンイチは敵視し、目の前の寄生生物に対抗しようとするミギーを制止。そのまま、敵意を持って向かってくる寄生生物の攻撃を心臓に食らってしまい、シンイチは倒れます。
絶体絶命のピンチに、ミギーは「わたし自身が心臓と一体化する以外にない！」とシンイチの蘇生を図るのです。そして、三日後……何とか意識を取り戻したシンイチ。その後、母親を乗っ取った寄生生物を討つために捜索の旅にでかけ、シンイチは「おれはもう…ミギーのこと敵だなんて思ってないよ… 命の恩人だもんな」と、そのとき初めてミギーの存在に感謝します。それからの二人は、協力体制のもと多くの寄生生物を倒していくのでした。
■最強生物・後藤を前に、捨て身でシンイチを逃がすミギー
次に、寄生生物を一つの体に五体取り込んだ後藤との戦いのシーン。勝ち目の薄い戦いに臨みながらも、勝機を掴もうと奇襲をかけるミギーとシンイチ。ミギーは、シンイチの身体から離れ、二手に分かれて攻撃しようと試みるも、あえなく失敗。そして窮地に立ったミギーは、シンイチをかばい、逃げるよう指示します。
「さようならシンイチ…これで…お別れだ…いちばんはじめにきみに出会って…きみの…脳を奪わなくてよかったよ…おかげで友だちとして…いろいろな楽しい…思い出を…」と、薄れゆく意識のミギーは、やがて後藤に取り込まれてしまいます。一方、ミギーに救われ一命をとりとめたシンイチは、近くの民家にたどり着きます。どうしたらいいかわからないまま、そこに住むおばあさんのもとで数日間過ごすことに。
しかし、近所で後藤が人を襲っているという報せを聞きつけたシンイチは、再度後藤を倒す覚悟を固めます。そして、夜の森に潜んでいた後藤を探し出し、急襲。なんとか善戦を繰り広げるのですが、最強生物を前にやがて為す術をなくします…。
絶体絶命かと思われたそのとき、シンイチが後藤に攻撃した鉄クズに含まれる毒物のおかげで、体内から毒物を排出しようとする反応に同調したミギーは、シンイチの右手に戻ることに成功。ミギーがいなくなり喪失感に駆られていたシンイチは、改めてミギーの存在の大切さに気づくのでした。
■殺人鬼との戦い……長い眠りについたはずのミギーがシンイチの窮地を救う
ミギーは、後藤の体内に取り込まれたことで得ることができた膨大な情報を処理するために、しばらくのあいだ「眠り」につくとシンイチに告げます。シンイチは「まてったら！」と引き止めますが、一方的に「いままでありがとう…シンイチ…」と別れを告げるミギー。
それから一年後、寄生生物との戦いもなくなったシンイチは、浪人生に。しかし、ひょんなことから、かつて対面したことのある殺人鬼・浦上に目を付けられ、ガールフレンドの里美を人質に取られてしまいます。そのまま屋上へと導かれるシンイチ。里美は今にも転落してしまいそうな屋上の端っこで浦上に抱きかかえられ、ナイフを突きつけられた状態。シンイチは、里美を救うべく二人のもとへ駆け寄ります。
その瞬間、里美を手放して屋上から落とそうとする浦上。シンイチは「助ける！間に合うさ！そうともおれは脚が速い！ただの人間じゃないんだ！」と、浦上に近づいた瞬間に左手でアゴを砕き、それから即座に、下に落ちゆく里美に右手を伸ばします。しかし……あと一歩のところで、里美まで届かず…。絶望してそのままその場にへたりこむシンイチでしたが…。
「いつまでもメソメソしてるんじゃない 疲れるから自分で持ちな」と心のなかに突如現れたミギー。その直後、シンイチは右手に重みを感じ、その手に里美の腕が握られていたことに気づくのです。「ありがとうミギー…おまえはやっぱり生きてる！」とシンイチは強く実感。シンイチのもとからいなくなってからも、ミギーはずっとシンイチのことを見守ってくれていたのかもしれません。