中学生コスプレイヤーがネット炎上 住所を晒され、自宅に誹謗中傷の手紙が届いた結果…

コラム

 

2015年、アメリカの番組でいじめを乗り越えた女子高生として紹介されたNさん。彼女を追い詰めたものとは何だったのか……。

 

 

■突然ネット上で誹謗中傷の書き込みが

 

中学1年生の時だった。オタクでキモいと同級生に非難を受けていたNさん。


実はNさんにはある趣味があった。それはコスプレ。コスプレイヤーが利用するサイトに写真をアップしていたのだ。


ハンドルネームを使って、同じ趣味の人たちとネット上で楽しんでいた。学校では黙っていたのだが、ネットでNさんのコスプレを見た同級生により一気に噂が広まり、いじめの標的となったのだ。


オタク・キモいと呼ばれ、みんなに無視されていた。暴力ではないが……言葉による陰湿ないじめを受けた。


誰ともほとんど喋らない1日。Nさんが唯一自分の言葉を発信できる場所……それはやはりインターネットの世界だった。そこで自分の悩みや思いを綴っていたのだが、このネットの世界でも恐ろしい事件に巻き込まれてしまう!


ある日、Nさんのコスプレサイトにメッセージが。

 

「写真見たけどキモいし、ブスじゃん」

「なんかむかつく。コイツのコスプレまじきもい。」


激しいバッシングの嵐だった。さらに、実名も明かされていた。Nさんへのバッシングは激しさを増し、ついには殺害予告も。いったい誰が何のために?

 

 

そんな中、早朝の職員室にNさんの母親と名乗る女から一本の電話が。伝えている住所が間違っているかもしれないという。

 

そこで学年主任は登録されているNさんの住所を読み上げてしまった。その直後、電話は突然切れた。電話をしたのは、実際の母親ではなかった。これがさらに恐ろしい事態を招く!

 

 

■ネットの嫌がらせが現実世界にも広がる

 

ネットに広がるNさんへの嫌がらせ……それはやがて、現実世界にも影響を及ぼそうとしていた。


ネットの掲示板にはNさんの住所がネット上に晒されていた。翌日、自宅に怪しい封筒が。


すぐに警察へ。そこにはNさんへの誹謗中傷が便箋3枚にわたり、びっしりと書かれていた。警察に捜査をお願いしたが、実害がないと動けないという。住所の削除は弁護人に相談をするように勧められた。


弁護士のあてなどない。母はまず、知り合いのカメラマンに相談。彼からネットトラブルを得意とする弁護士を紹介され、住所の削除依頼のために動いてもらった。


そんな頃……血で書かれたような「死ね」という文字がブログに送られてきた。ネット上にしか友人がいなかった少女……そのネットが恐怖に変わってしまった。もう精神的にも限界だった。


娘を転校させる決意をした母はある学校を見つけた。しかし、親子にとってさらにショックな事が転校先の担任から伝えられた。地域周辺の中学校に不審な電話が多数かかってきたという。


この頃から、Nさんは、ストレス性の激しい胃炎に苦しむようになった。その頃、母親はカメラマンとすべての書き込みをした犯人と思われる人物を突き止め、その家を訪ねた。


その家にいた女性は二人を中に案内すると、20代の娘と思しき女を連れてきた。母はこの女性にNさんへの嫌がらせについて聞くと、女は全部自分がやったと自白した。


彼女がNさんを精神的に追い詰めていたのだ。この後、民事裁判が行われ、Nさんの前に初めて姿を現した女。


個人情報の漏えいや殺害予告。なぜ、Nさんだったのか?そこに深い理由はなかった。中学生コスプレイヤーで目立っていたNさんがたまたま目につき、標的にしたのだという。


彼女にとってはたまたまの遊び……しかしNさんにとっては耐えられない恐怖の日々だった。Nさんは、自分のいじめ体験をブログで発信。その記事がCNNの目に留まり、取材を受けた。


不特定多数とつながってしまうネット社会。その使い方には十分気をつけたい。(2016年11月23日OA)