「褒めること」は難しいですよね。でも、褒められて嬉しくない人はいません。ということは、うまく褒めることができれば、人間関係を良くするためにこれほどの“武器”、“潤滑油”はありません。
今回は「褒める」ことに焦点を当てます。
褒めるのが難しいのは、面と向かって褒めると照れが出て、内容とタイミングをうまくつかめないからだといわれています。
相手の「自己重要感」を満たしてあげるためには、内容とタイミングにコツが必要です。
まず内容ですが、直接相手そのものを褒めるのではなく、相手が属している「集団」、相手の「行動」、相手の「モノ」を「好きだ」と褒めると効果的です。
「集団」というのは、会社や学校やコミュニティーなどで、「個人」よりも「好きだ」と言いやすく、ハードルが低くなります。
「行動」は、あきらめない姿勢、好き嫌いがはっきりしている、事前にしっかりと準備ができているなど、相手の行為や振る舞いを「好き」と言います。
「モノ」とは、相手の持ち物です。服や靴、ネクタイ、もしくは好きな場所、飲み物などです。
こういうところを「好き」と褒めるのです。
「集団」、「行動」、「モノ」の中で言いやすいものでいいので、実践してみてください。相手の態度が変わってきます。
そして、難しいのがタイミングです。タイミングを逃すと褒めたくても褒められずに終わってしまいます。
この点に関して、大きなヒントを与えてくれたのが、ヤンキースの監督時代、4度の世界一に輝いた名将、ジョー・トーリです。
トーリはある選手を褒めようとした際、ミーティングなどの人前では決して褒めることをしませんでした。
代わりに監督室に呼んで、1対1で(個別に)褒めることに撤したのです。メジャーリーガーはプライドが高いためです。
みんなの前である選手を褒めると、褒められた選手は嬉しいですが、褒められていない選手は「何だ、あいつばかり褒めやがって!」とおもしろくなく、言うことを聞いてくれなくなります。
トーリ自身も現役時代に2000本安打を達成するなどスーパースターだったため、その気持ちが痛いほどわかるのです。1対1の個別主義を採ることで、常勝軍団の基礎がつくられたと言っても過言ではないでしょう。
みんなの前で褒めた方がいいという人もいますが、それだと、褒められていない人のことを何も考えていません。
1対1がお勧めです。つまり、褒めるタイミングは、人前ではなく、1対1のタイミングで、ということです。
1対1になれなければ、褒めるタイミングではないとみた方がいいでしょう。
これは、お子さんを褒める際も同じで、兄弟姉妹、一緒に褒めるのではなく、1対1で褒めた方が効果的です。
褒める内容とタイミング。ぜひとも試してみて、相手の変化を楽しんでください。