【注意!ネタバレあり】『シン・エヴァンゲリオン』 エヴァ世界のループについて考える

コラム

citrus 堺屋大地

 

※注意※

本コラムは『シン・エヴァンゲリオン劇場版』のネタバレがあります。『シン・エヴァンゲリオン劇場版』をすでに鑑賞済であることを前提に執筆しておりますので、未見で作品の内容を知りたくないという方は読まないでください。

3月8日にとうとう公開されたシリーズ完結編『シン・エヴァンゲリオン劇場版』。本コラムでは“ネタバレあり”で考察させていただきますので、未見の方はご注意ください。今回はエヴァシリーズのループについて語ります!

 

■エヴァ世界のループの構造とは?

※注意※
ここからはネタバレが含まれます。

 

1995年にスタートした『新世紀エヴァンゲリオン』のテレビ版と劇場版、いわゆる旧シリーズも観ている人なら、今回の新劇場版シリーズが旧シリーズからループした世界であることはご存じでしょう。

これまでの新劇場版1作目の『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』、2作目の『:破』、3作目の『:Q』では、ループが一度だけではなく、何度も何度も繰り返されていただろうことがおぼろげに明かされていましたが、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』でそれが確定。

これまでの『エヴァンゲリオン』の世界は、何度も何度もループを繰り返し、そのループから抜け出せずにいる物語だったわけです。

そして、そのループの軸のようになっていた存在が渚カヲル。

彼は世界がループしていることを認識できており、何度も繰り返されてきたループの記憶も引き継いでいる存在でした。それは『:序』のラストシーンでカヲルが「また3番目とはね。変わらないな、君は。会えるときが楽しみだよ、碇シンジ君」と語っていたことからも明らかでしょう。

さて、では新劇場版シリーズのラストは、またループして世界は繰り返されてしまうのでしょうか?

答えは、否。

『シン・エヴァンゲリオン劇場版』は、何度も繰り返されてきたループから抜け出すことができた“成功回”だったんだと思います。

仮に、ループしてまた世界が戻ってしまうことを失敗と仮定するなら、旧シリーズは“失敗回”のお話し。何回も、何十回も、もしかしたらそれ以上、ずっと失敗を繰り返してきたなかの一つが、旧シリーズだったんでしょう。

そして、新劇場版シリーズがそのループからようやく抜け出せた“成功回”のお話し。

ちなみにここからは筆者の個人的な考察ですが、今回の新劇場版シリーズがループから抜け出す“成功回”となったカギは、真希波・マリ・イラストリアスの存在だったのではないでしょうか?

例えば、これまでの“失敗回”では、マリはエヴァパイロットにはなっていなかったとします。実際、旧シリーズでは登場していないキャラなので、あり得る可能性。しかし、今回の新劇場版シリーズはマリがエヴァパイロットとして加わったことで、これまでのループとは違う流れが生まれ、ループを断ち切ることができた――とも考えられます。

さらに深読みするなら、もしかするとマリがエヴァパイロットになるような流れを作ったのは、シンジの母・碇ユイだったのかもしれません。乱暴な言い方をすると、ループを断ち切るためにユイがマリをエヴァパイロットとして送り込んだ。……だからシンジはループの呪いを解くことができたのかもしれません。

この考察はさまざまな可能性の一つにすぎませんが、そうやって考えると『シン・エヴァンゲリオン劇場版』のラストシーンで、マリが重要な役割を担ったことも説明がつくというものでしょう。