※注意※
本コラムは映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版』、および公式謹製36P冊子『EVA-EXTRA-EXTRA』のネタバレがあります。ご注意ください。
3月8日に公開され大ヒットとなった『シン・エヴァンゲリオン劇場版』。本コラムでは6月12日から劇場で配布された来場者特典、公式謹製36P冊子『EVA-EXTRA-EXTRA』で描かれた『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』の前日譚マンガを考察します。
■アスカの恋心は完全に消えたわけではない?
※注意※
ここからはネタバレが含まれます。
4部作の第2部『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』から、一気に14年の月日が流れていた第3部『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』。『:破』のラストに描かれた『:Q』の予告とはガラリと内容が違っており、初見の際は大きな戸惑いを覚えた方がほとんどだったでしょう。
これまで『:破』から『:Q』の間のストーリーが描かれたことはなかったのですが、今回初めて、『:Q』開始直前のストーリーが16Pにわたり『EVA-EXTRA-EXTRA』に掲載されたのです。
主に登場するのは式波・アスカ・ラングレーと真希波・マリ・イラストリアス。『:Q』の冒頭で描かれた、エヴァ初号機 奪還回収作戦前の二人のやりとりが明かされました。
マリは初号機の中に主人公 碇シンジがいると信じているものの、アスカは「あいつは… もう いない」「LCLの中に溶けて消えたってリツコも言ってたし」と同調せず。マリからもし会えたらどうするかと尋ねられた際は、「ぶん殴る!」と宣言もしていましたが、改めて「…だから バカシンジはもう いないのよ」と否定していました。
しかし、アスカも本音ではシンジが初号機の中にいてくれることを望んでいるのでしょう。
ふと、お弁当を手渡してくれたシンジの笑顔を思い出すアスカ。当初はマリが搭乗する8号機が初号機回収役で、アスカの改2号機はただの援護役だったものの、アスカも自らの意思で回収役にまわるのです。
この短編マンガから読み解けるのは、アスカのシンジに対する複雑な感情。『:Q』ではほとんどシンジに対する好意的な感情は見せていませんでしたが、やはりまだ惹かれている部分があったことがわかります。
かつてはシンジに対して恋愛感情があったことは、『シン・エヴァ』でアスカ自身がシンジに告げていました。『:破』から『:Q』の過酷な14年間で、その恋心は風化してしまったのかもしれませんが、笑顔のシンジを思い出したときのアスカの切ない表情からは、完全に恋心が消えたわけでもないのでは……という解釈も。
余談ですが、『シン・エヴァ』のラストシーンで超重要な役割を担ったマリでしたが、この短編マンガでもアスカの恋心を焚き付け、応援するようなスタンスを見せていました。さまざまな解釈の余地があるので否定するわけではありませんが、やはりシンジとマリの二人でエヴァ全体の物語が終幕したというのは、唐突感が否めませんよね。