ヒーローを目指す少年少女の活躍を描く、週刊少年ジャンプの大人気マンガ『僕のヒーローアカデミア』。同作には世間の憧れを一身に集める最強のプロヒーロー・オールマイトが登場するが、今回はそんな彼の魂を揺さぶる名言を3つピックアップ。
■「もう大丈夫 私が 来た」/皆の心の灯台となる男の圧倒的“頼り甲斐”!!
「平和の象徴」として、日々押し寄せる犯罪や災害から人々を守り続けてきたヒーロー・オールマイト。他のヒーローの追従を許さない圧倒的な力と余裕は、まさに市井の人々の心の拠り所になっていた。
オールマイトこと八木俊典は、悪を倒すために受け継がれてきた個性「ワン・フォー・オール(以下、OFA)」の継承者として、その重責に耐え続けてきた。未熟だった時代から、彼の師匠の志村菜奈に「皆が笑って暮らせる世の中にしたいです その為には…“象徴”が必要です」と語っていたように、平和のシンボルになることは彼の望みでもあった。
「私が来た!」というこのセリフは、実は作中で何度か彼が口にしているキーフレーズでもあり、この言葉を聞いた人々が「オールマイトがきたからもう大丈夫だ!」と安心することを、彼自身狙ったセリフでもある。実際、この「もう大丈夫 私が 来た」と彼が口にしたコミックス第2巻のUSJ襲撃事件でのワンシーンでは、劇中の人物のみならず、読者の心にも抜群の安心感と感動をもたらしてくれた。
■「ヒーローは… 守るものが多いんだよオールフォーワン!!」/不屈の精神が宿る!
次に紹介するのは、コミックス11巻のオールマイトvsオール・フォー・ワン(以下、AFO)戦で飛び出した名台詞だ。今まで、主人公である出久の師匠であり憧れの存在として描かれることが多かったオールマイト。そんな彼が全力で激闘を繰り広げたこのバトルは、作中でも屈指の名勝負と名高い。
ヒーロー輩出の名門校“雄英高校”。その1年生の爆豪勝己がヴィラン連合に連れ去られてしまったことに端を発した、神野区での大激戦。爆豪救出のためにヴィラン連合のアジトの一つを強襲したオールマイトらプロヒーローだったが、寸でところでオールマイト因縁の相手であり、ヴィラン連合の黒幕でもある強敵AFOが出現し、戦局が一変してしまう。
その後、出久らの活躍によって爆轟を奪還。全力が出せるようになったオールマイトはAFO相手に激闘を演じるが、OFAを出久に譲渡して力が衰えてしまったこともあり、徐々に劣勢に追い込まれ、やせ細った真の姿を世間に晒してしまう。もうダメかと思われたそのとき、オールマイトは瓦礫の下で助けを求める一般人の声を聞く。そして、彼は「ああ…! 多いよ…! ヒーローは… 守るものが多いんだよオールフォーワン!! だから 負けないんだよ」叫び、再びその闘志を燃やすのだった。
■「この命に代えても守り育てます!」/ヒーローから教育者・師となった魂の叫び!!
最後は、上記のAFO戦に辛くも勝利し、事実上の引退となったオールマイトを描いたコミックス11巻の名シーンで、彼が語った名台詞だ。神野区の悪夢とも呼ばれるようになったこの大激戦を経て、雄英高校はその安全性の面に関して多くの批判に晒されるようになってしまう。
こうした批判に対し、校長の根津は雄英高校の全寮制制度導入を発表。すでに入学している生徒の親たちから承諾を得るために、教師たちは自宅訪問をして回ることになる。そこでオールマイトは、自身の後継者でもある出久の家に行くのだが、彼の母である緑谷引子から「今の雄英高校に息子を預けられるほど 私の肝は据わっておりません」という痛烈な言葉をもらってしまう。
教え子を何度も危険な目に逢わせてしまった責任から、言葉なく受け止めることしかできなかったオールマイト。しかし、それを見ていた出久は「雄英でなくたってどこだっていいよ 僕はヒーローになる…から!」と、高みを見据えた一言を絞り出す。この一言に帯を締め直したオールマイトは引子に土下座をし「私は 出久少年が私の後継にふさわしいと すなわち 平和の象徴になるべき人間だと思っております」「出久少年に私の全てを注がせてはもらえないでしょうか この命に代えても守り育てます!」と懇願するのだった。この直後の引子の「だから命に代えないで ちゃんと生きて守り育ててください」という慈愛のセリフと相まって、ヒーローから教育者として変貌を遂げるオールマイトの新たな矜持を感じさせる名シーンだ。