時代が新庄剛志氏に追いついた?多くの野球ファンを魅了する "野球観"

 

ある意味、時代が新庄剛志氏(49)に追いついた、と言えるかもしれません。

 

ニューヨーク・メッツ時代でのこと。ある試合でホームランを打ちました。その瞬間、バットを高々と放り投げました。この行為にニューヨークメディアが噛みついたのです。「相手の投手、チームを侮辱している」と。

 

またある試合で、ホームランを打ち、生還した際、ホームべースを足で踏まず、手で触れました。手でタッチをしたという表現がピッタリでした。この行為にまたニューヨークメディアが噛みつきました。「相手の投手、チームを侮辱した行為だ」と。

 

確かにそうかもしれません。メジャーでは、アメリカでは、そうに違いないと思われます。しかし、新庄は、そんなこと、微塵も思っていませんでした。

 

オレのファンに、メッツファンに、楽しんでもらいたい。純粋にただこの1点のみだったのです。

 

帰国して、北海道日本ハムファイターズと契約しました。「球場を満員にする。優勝する」と誓った新庄。だから、バイクに乗って登場しました。札幌ドームの天井からも降りてきました。特殊メイクやヒーローの仮面もかぶりました。そして、 "約束" を守りました。

 

自分が楽しむこともちろんありましたが、ここでも新庄のファンに、日本ハムのファンに、さらに野球ファンに楽しんでもらいたいという思いが溢れています。

 

物議を醸し続けた男。その物議がことごとく物議ではなくなってきています。

 

たとえば、ホームランを打った後、バットを放り投げる選手は増えています。日本ハムの選手時代に行った数々のパフォーマンスも、今や好意的に受け入れられています。

 

また、日本ハムの監督に就任した後のことです。インスタ上で、チームの清水優心選手から「シーズンは長いし、浮き沈みがあるスポーツ。一流選手は(調子の)波が少ないと思うので、しんどい時にどう耐えるのか(新庄監督に)聞いてみたい」との質問を受けた新庄監督は、すぐさまインスタ上で次のように回答しました。

 

「清水君(捕手)の質問に答えよう。長いシーズン調子が悪くなる時期は必ず何度も来る。僕は調子が悪くなった時こそスタメンから外されないように、守備で1点を防ぐ。ホームラン1本も捕殺1個も同じ打点1.その気持ちで調子が上がって来るのをただただ待って耐え抜いていた」

 

このエピソードの凄いところは、SNSを使って "公開社員教育" を行い、それを全世界の人に見せたことです。新庄監督は、それを当たり前のようにやったのです。

 

ある意味、時代が新庄に追いついた、と言えるかもしれません。