新潟県村上市で、幸せな新婚生活を送っていたNさん。彼女に恐ろしい症状が……。
それは2017年に起こった。当時、Nさんのおなかには赤ちゃんがいて、つわりがひどかった。しかし……実はこの不快感は、つわりによるものではなかった。それに気づくのは、無事に赤ちゃんを出産してからだった。
なぜなら……相変わらず、吐き気やめまいがひどかったから。そんなある日、同じマンションに住む母と、自分の不調について話していた時のこと。Nさんは、いつも朝ごはんの後に不調になる事に気づいた。となると……原因はもしかして味噌汁? たしかにほぼ毎朝飲んでいる。ただ一つ不思議なのは、朝の味噌汁は夕食の残りのもので、夕食の時は味噌汁を飲んでもなんともない。試しに朝の味噌汁をやめてみると……なんと吐き気やめまいがおさまった。一体なぜなのか?
2019年7月。この日、Nさんが作っていたのは「のっぺ」。新潟の郷土料理である「のっぺ」は、一般的に鶏肉や季節の野菜を煮込み、里芋でとろみをつけたもの。Nさんはこの日はじめてこの料理を作ってみた。夫の反応も上々! うれしくなり……母に写真を送った。
翌日、母にも食べてもらおうと鍋ごと実家へ持っていったNさん。母がその鍋の中をみると……ある異変に気づく! なんと、竹の子が青く変色していたのだ。何かに気づいた母は、Nさんにある症状の可能性を伝えた。それは……銅中毒だった。
■銅鍋の誤った使い方とは?
銅はレバーや牡蠣などに含まれ、鉄分などと同じく体に必要な成分。食品に含まれる銅は通常、口から入り胃と小腸で吸収される。そして肝臓に送られ、タンパク質とくっつき赤血球や骨の形成を助ける働きをし、余ったものは排泄される。だが、急激に大量の銅を摂取すると、胃や小腸の粘膜を荒らし、腹痛や嘔吐を引き起こす。母は、娘の不調の原因は、銅鍋の銅が溶けていた事による「急性銅中毒」だと考えたのだ。
食品衛生法では、銅を使った調理器具や食器などは、別の金属でメッキを施し、食品が銅と直接触れる事がないよう、規制されている。しかし彼女は……洗う時にこすりすぎでメッキがはげ、銅が料理に溶けだしてしまった可能性が考えられた。
さらに、彼女はメッキがはげた銅鍋で絶対にやってはいけない使い方をしていた。それは……作った料理を銅鍋に入れたまま保存していたこと!
そのため、料理の中に銅が溶け出し中毒症状を引き起こした可能性があったのだ。ところで……なぜ母は銅中毒のことを知っていたのか?
実はのっぺを作ったあの日、母はたまたま銅中毒を取り上げていた「仰天ニュース」を見ていて、この症状について知っていたのだ!
その後、鍋を正しく使うようになったNさん。それ以来、症状は治まっているという。そんなNさんは……今ではとても元気そう。ちなみに、夫は同じ料理を食べても症状が出なかった。実は中毒症状を引き起こす銅の量には個人により差があるのだという。
では、実際にどれだけの銅が鍋から溶け出すのか? Nさんが使っていた銅鍋を借りて試してみた。銅は酸性の調味料と反応しやすい。そこで銅鍋にドレッシングを入れ、放置すると……3時間で鍋の中が青色に。これが銅が溶け出している証拠。銅鍋はメッキが施されたものを使ってください。(2019年11月5日OA)