大人気の推理アニメ『名探偵コナン』。物語の鍵を握る「黒の組織」登場回はどれも人気が高いが、なかでもなんと14話かけて放送された長編エピソード「赤と黒のクラッシュ」はとりわけ人気。今回はこの長編から名シーンを3つ紹介したい。
■黒の組織のスパイ……楠田陸道、衝撃の最期!
まず紹介したいのは、2008年2月25日に放送された第497話「赤と黒のクラッシュ 覚醒」から、黒の組織とFBIの一騎打ちの原因ともなった“楠田陸道”の最期を描いたシーンだ。楠田陸道は、黒の組織の一員である水無怜奈の入院先を捜索するために、組織が送り込んだ捜査員。楠田は見事に水無が入院している病院を突き止め、組織に連絡を取ろうとする。
しかし楠田は、入院者リストを撮影していたところをFBIに目撃されてしまう。楠田はプラスチック爆弾を取り出し、病院を爆破すると脅しながら逃走。それをFBI捜査官の赤井秀一と、主人公の江戸川コナンが追跡、カーチェイスが始まるのだった。
カーチェイスの末に捕まることを悟った楠田はまさかの拳銃自殺。黒の組織に何らかの形で定期連絡をしていた楠田は、死によって定期連絡を途切れさせることで、組織に水無の入院先を知らせたのである。そして、この事件から組織とFBIの攻防が始まるのだった!
■組織とFBIの巧妙な駆け引き……病室の大胆な割り出し方!
次に紹介したいのが、2008年3月10日に放送された第499話「赤と黒のクラッシュ 偽装」で描かれた、水無の入院先の病院を知った組織が次にとった“水無の病室の特定策”のシーンだ。秘密裏に犯罪を行う黒の組織は、警察に悟られずに犯行を行うべく、水無が入院している病院の入院患者に時限爆弾付きの“入院見舞い”を送る。
入院患者宛ての配達物が一斉に届いたことによりパニックになる病院前。これに対してコナンたちは、“病院内のパニックに乗じて水無を奪いにくるのではないか”、そして“入院見舞いに時限爆弾が仕込まれているのではないか”と推理する。
案の定仕掛けられていた入院見舞いの時限爆弾を無事解除・回収したFBI。だが、テレビに突如病室の水無が映ったため、慌てたFBIは回収した時限爆弾を持ったまま水無の病室前に駆けつける。しかし、それこそが組織の罠だったのだ。なんと回収された時限爆弾には発信機が取り付けられており、信号が集まった位置が水無潜伏している病室だと特定したのだった。
■赤井秀一死亡!? 人気キャラの殉職に隠された秘密とは……
最後に紹介するのが、2008年5月19日に放送された、第504話「赤と黒のクラッシュ 殉職」で描かれた“赤井秀一の死”をめぐるストーリーだ。ここまでの展開で、水無はキールというコードネームを持つ組織のメンバーだということが判明。人気のない峠に赤井を呼び出した水無は、遠くから監視しているジンの指示通り、なんと赤井の頭を撃ち抜いたのだ。さらに遺体のある車を爆破し、その焼死体から赤井の指紋が発見されたことから、ジンは赤井が死んだことを確信するのだった。
だが、この作戦には複雑なトリックがあった。まず水無は、実は黒の組織の内情を探るべく潜り込んだCIAの諜報員で、赤井とコナンもそれを知っていたのである。そして、彼女が潜入中のスパイだと黒の組織に勘繰られていたので、組織からの信用を取り戻すために、水無の手で赤井を射殺したように偽装。そう、つまり赤井とコナンと水無が協力して仕立て上げた二重偽装作戦だったということだ。この壮大な“偽装作戦”はFBIのメンバーにすら周知されておらず、作中の登場人物が本当に悲しんでいる描写などから、視聴者も赤井の死に疑いを持っていなかった。
しかし、このエピソードが放送されてから6年後に公開された、劇場版第18作目の『名探偵コナン 異次元の狙撃手』で、赤井の生存がほぼ確定。その徹底した偽装は、黒の組織のみならず、視聴者の目すら欺き通したのだった。