みんなの夢を叶えてくれる素敵なひみつ道具は、『ドラえもん』の醍醐味。だが、なかには人類の存続を脅かしかねない危険すぎるひみつ道具があることを知っていただろうか。今回はそんなヤバすぎるひみつ道具を3つご紹介。
■バイバイン/使い方を間違えれば地球が埋め尽くされる?
最初のヤバすぎるひみつ道具は、コミックス第17巻に登場した「バイバイン」だ。
ひとつの栗まんじゅうをじっと見つめるのび太。なんでも、食べれば栗まんじゅうはなくなってしまうが、食べないと美味しさを味わえないという。呆れて聞いていたドラえもんだが、のび太の悩みを解決するべく四次元ポケットから「バイバイン」を取り出す。
「バイバイン」は、液体が入った薬瓶のような道具。物体に液体を一滴垂らすと、その物体は5分ごとに2倍の数に分裂し、1個、2個、4個、8個……と無制限に増えていってしまうのだ。
のび太は“ひとつだけ残しておけば無限に食べられる”と考え栗まんじゅうにバイバインをかける。はじめは、楽勝だったのび太であったが、食べ進めていくうちに満腹になってしまう。のび太のママやジャイアンたちにも手伝ってもらうが、食べるスピードよりも増えるスピードのほうが速い。のび太は耐えきれなくなりゴミ箱に捨ててしまうが、作中終盤では増えすぎて山盛りになった栗まんじゅうが……。
最終的にはドラえもんが増えすぎた栗まんじゅうを風呂敷に包み小さいロケットで宇宙に飛ばしたが、ドラえもん世界の宇宙では栗まんじゅうが増え続けているのかもしれない。
■どくさいスイッチ/気に入らない奴は全員消えてしまえ!
次は、コミックス15巻に登場した、自分の気に入らない人物をこの世から“消す”ことができる「どくさいスイッチ」をご紹介。
野球で負け、いつもの如く腹いせでジャイアンにバットで殴られたのび太。「ジャイアンさえいなかったらこんな目に…」と漏らすのび太に、ドラえもんが「じゃ、やってみる?」と渡したのがこのひみつ道具だ。
「どくさいスイッチ」は、未来の独裁者が使う道具であり、ボタンひとつ押せば誰でも存在自体を“消す”ことができる恐ろしい道具。道具の効果を聞き、さすがにためらうのび太であったが、再び殴りに来たジャイアンを衝動的に消してしまう。
その後、紆余曲折ありドラえもんを含む自分以外の人間をすべて消してしまったのび太。孤独に耐えかねて泣き出していたところに現れたのは、なんと消したはずのドラえもん。曰く、この道具は“独裁者を懲らしめる”ための発明であり、消えた人々は元に戻すことができた。平和に終わりはしたが、多くの子供たちにトラウマを植え付けたエピソードだったことは間違いないだろう。
■地球はかいばくだん/あっという間に木っ端みじん……!?
最後にご紹介するのが、コミックス第7巻「ネズミとばくだん」に登場した「地球はかいばくだん」。
野比家に現れたネズミを退治するためにパニックに陥ったドラえもんが最後の手段として取り出したひみつ道具、というより兵器がこれだ。幸いのび太が機転を利かせドラえもんに“ネズミは逃げた”と伝えたことで作動は免れたが、もし実際に道具が作動していたらどんな結果になっていたかはわからない……。
だが、この兵器、なんとコミックス第27巻「恋するドラえもん」にもまさかの再登場を果たす。意中のメス猫に歩み寄るオス猫に対して、嫉妬したドラえもんが再びこの道具を取り出したのだ。しかし、このときも「すてきなお友だちがいるの」というメス猫の一声で作動するには至らなかったのでご安心を。
このように、このひみつ道具はドラえもんの精神状態が不安定かつ、猛烈な破壊衝動に陥るときに登場することが多い。しかし、実際に作中で使用されたことはなく、名前通り本当に地球を破壊できるかはわからない。TVアニメ『ドラえもん』のホームページにある「ひみつ道具カタログ」を見ても、「ネズミを怖がったドラえもんが、おいつめられて出した道具」という説明しかされておらず、実際のところの威力は不明のままである。