『名探偵コナン』小五郎が眠らずにした "自力推理" がアツい! 「小五郎の同窓会殺人事件」

コラム

citrus ささみのおにく

 

へなちょこキャラでお馴染みの『名探偵コナン』の毛利小五郎。しかし実は情に熱く、頭も切れる人物という一面も……。今回はそんな毛利小五郎が感情を剥き出しにして、眠らずに本人が推理したエピソード、「小五郎の同窓会殺人事件」のアニメ版を紹介したい。

 

 

■事件はこうして始まった

「小五郎の同窓会殺人事件」は1996年8月5日に前編、同年8月12日に後編が放送されたエピソード。大学時代の友人たちが集まった同窓会で、温泉旅館に訪れた毛利小五郎、毛利蘭、江戸川コナン。集まったのは小五郎らの他に中道、綾城、由美など総勢5人で、いずれも大学時代の柔道部のメンバーだった。

ワイワイと盛り上がった宴会が終わりに近づいてきた頃、柔道部メンバーの中道は卓球をしないかと提案。みんながやる気を見せるなかで、由美だけは素っ気なく断り、自分の部屋へと戻ってしまう。卓球を終えた一同は次に花火大会へ。その道中で蘭とコナンは由美のことを思い出し誘いに行くが、旅館内で中道と遭遇し、「やめとけやめとけ、人に起こされると機嫌が悪いから」と止められてしまう。

花火大会も終わり、一同は旅館に戻り夕食の準備を始める。しかし由美は一向に部屋から出てくる気配がない。心配した一同は由美の部屋を訪れてドアをノックするも、返事がない……。仕方なく部屋に入ると、そこにはなんと側頭部を銃で撃ち抜かれた由美の亡骸があったのだ。

 

 

■温厚な小五郎が見せた怒号!!

このエピソードの見どころは、なんと言っても小五郎が普段は見せない本気の苛立ちを見せるシーンだ。いつもはコナンが推理に口を挟んでも「あっち行ってろ」と煙たがるそぶりを見せるレベルなのだが、このときは違った。

コナンが推理の助言をしようとするや、「うるせー!!」「ガキがゴチャゴチャ抜かしてんじゃねー…」と一喝。「フン!! 何が外部犯だ!!」「外部からたまたま侵入した奴が、自殺に見せかけて殺したりするか!! 犯人は内部の人間だ!! つまりオレの親友の誰かなんだよ!!」「この犯人は…この事件だけは許せねぇ…」「必ずオレが暴いてやる!! 絶対にな!!!」と小五郎は本気の怒りを露わにするのだった。

事件当初から犯人の目星が付いていたコナンは、その後の推理で犯人のトリックを見破り、いつものように時計型麻酔銃に手をかける。しかし脳裏に小五郎の真剣な表情が浮かび、小五郎を眠らせることをやめるのだ。そしてこの事件は、小五郎本人が“眠らない状態”で推理、解決に導いたのである。

 

 

■小五郎怒りの背負い投げ

このエピソードにおける小五郎の見どころはまだまだある。それは犯人を背負い投げするシーンだ。小五郎の背負い投げといえば、劇中でもお馴染みの技ではあるが、この回では一味違った演出が施されていた。

その演出が光ったのは、事件発生前に一行が卓球を楽しんでいるシーン。蘭が中道に「(柔道の)全国大会で優勝されてますよね?」「じゃあやっぱり中道さん柔道部で1番強かったんですね」と言うと、中道は「いや、俺より数段強い奴がいたよ」「蘭ちゃんも知ってる奴だよ」と笑い返す。この流れが後の展開における伏線になっているのだ。

小五郎の名推理後、犯人であった中道に柔道部メンバーの大村が掴みかかるも、簡単に足技を決められてしまう。同じく柔道部メンバーの綾城も飛びかかるのだが、これまた中道に背負い投げを決められる。そんな中道を追い詰めたのが、何を隠そう小五郎だった。柔道部男子メンバー達が敵わない強敵・中道を相手に、見事背負い投げを決めた小五郎。

示唆されていた“中道より強い人物”が小五郎であることが、ここで明らかになる演出は実に鮮やか。普段は見られない小五郎の魅力が詰まった名エピソードと言えるだろう。