恋愛コラムニストであり、『Smart FLASH』(光文社)でドラマ批評連載を持つドラマウォッチャーの筆者は、『ガンダム』シリーズの大ファン。そんな筆者が気づいた、大人気の朝ドラ『カムカムエヴリバディ』と『ガンダム』の共通点をお教えします。
■『機動戦士ガンダムAGE』の構成・コンセプトと瓜二つ
朝ドラこと連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』。
一人の主人公の成長を描く従来の朝ドラとは異なり、1代目主人公・安子を上白石萌音さん、安子の娘で2代目主人公・るいを深津絵里さん、るいの娘で3代目主人公・ひなたを川栄李奈さんがリレー形式で演じていくという異色の構成で大人気。
昨年11月1日から放送スタートした本作は、現在、第3部「ひなた編」を放送中で、4月8日の最終回に向けて盛り上がりを見せています。
そんな『カムカムエヴリバディ』ですが、数多くある『ガンダム』シリーズのなかの、『機動戦士ガンダムAGE』(2011年)に構成やコンセプトがそっくり。『機動戦士ガンダムAGE』は、祖父・息子・孫と主人公が移り変わっていく三世代・100年の物語。祖母・娘・孫の三世代・100年の物語となる『カムカムエヴリバディ』と瓜二つなんです。
『カムカムエヴリバディ』がパクった! ……なんて糾弾するつもりは一切ありません。当然ながらロボット同士の戦いが繰り広げられるSFアニメ『機動戦士ガンダムAGE』と、昭和・平成・令和の日本を描く『カムカムエヴリバディ』のディテールはまったくの別ものですから、おそらくたまたま似てしまっただけでしょう。
■るいの雰囲気やポジションがアムロやキラと似ている
『カムカムエヴリバディ』第2部「るい編」には、第1部の主人公である安子は回想シーンでしか出てこず、実質的に“退場”状態でした。しかし、現在放送中の第3部「ひなた編」には、第2部の主人公であるるいもレギュラー出演中。母親としてひなたを温かく見守っています。
この前主人公が新主人公と共演するという展開は、『ガンダム』シリーズでもおなじみなんです。
前述した『機動戦士ガンダムAGE』でも前主人公が新主人公をサポートする立場で登場していましたが、それだけではありません。
ファーストガンダムとして知られる『機動戦士ガンダム』(1979年)の主人公であるアムロ・レイは、その7年後を舞台とした『機動戦士Ζガンダム』(1985年)にも登場。『機動戦士Ζガンダム』の主人公であるカミーユ・ビダンの良き先輩として、共闘してくれるのです。
特にアムロとカミーユはニュータイプ同士ですし、同じような悲劇的恋愛を経験するといった共通点が多いため、アムロはカミーユのことを特に気にかけていました。ちなみに『機動戦士Ζガンダム』のときのアムロは、ブランクがあったため情けなく見えるシーンもありましたが、諦念を抱いているような少々枯れた雰囲気がなんともセクシーでした。
また、『機動戦士ガンダムSEED』(2002年)の主人公であるキラ・ヤマトも、その2年後を描いた続編『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』(2004年)に登場しています。残念ながら『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』の主人公であるシン・アスカとキラは、敵対する関係性になっていたものの、『機動戦士Ζガンダム』のときのアムロよろしく、キラは達観して大人びたオーラをまとっており色っぽかったのです。
『カムカムエヴリバディ』の第3部に出演中のるいも、続編に登場した『ガンダム』のアムロやキラと同じように、常に落ち着いており達観した雰囲気を醸し出しているのが共通点と言えるでしょう。