90年代に爆発的な人気を博した伝説のバンド『JUDY AND MARY』。『そばかす』、『Over Drive』などの名曲をリリースしたポップロックバンドの時期が印象的なJUDY AND MARYだが、実は初期ではパンクバンドとして活動していたのだ。
■POWER OF LOVE
『POWER OF LOVE』は1993年9月22日に発売されたデビューシングル。シンプルなドラムから始まるこの曲は、全体的にゆったりとした曲調であり、後の時代と比較するとギターやベースのパートもアレンジを控えめにして演奏している。
ボーカルのYUKIもまだ若さを感じる歌声で初々しさを感じる。自身が作詞を担当した歌詞も、ミュージシャンとしての夢を追う途中である彼女を表しているようであった。特に後半の「歌い続けて見せるからあきらめきれない夢を Ho-hoかなえてよ」という歌詞は、この頃のYUKIを重ねながら聴くと妙にしっくりとくるのだ。
全体的にラフなパンクアレンジが施された曲であり、いわゆる “JUDY AND MARYらしさ” はまだ感じられない。しかし、これから伝説のバンドとして昇り詰めることなる彼らを知っていると、この曲もまた新鮮な感じで聴くことができるだろう。
■BLUE TEARS
1993年11月21日に発売されたリリースされた2枚目のシングル『BLUE TEARS』。この曲はフジテレビ系のバラエティー番組『めちゃ²イケてるッ!』の初代エンディングテーマとして使用されたので、知っている読者も多いのではないだろうか。
別れた恋人と過ごした冬のひとときを歌うラブソング。透明感のあるYUKIの歌声は疾走感があるアップテンポなバンドサウンドと重なってさわやかさがあるが、同時に恋人との思い出を忘れられない切なさもほのかに感じられる曲となっている。
曲は3分23秒と短めなのでサクっと手短に聴ける。ふと昔の恋人を思い出したときに聴いてみると当時の特別な感情に浸れるかもしれない。
■DAYDREAM
『DAYDREAM』は1994年4月21日にリリースされた3枚目のシングル『DAYDREAM/キケンな2人』に収録された曲。先に挙げた『BLUE TEARS』と同じくアップテンポなパンクサウンドだが、そちらとは違い重く緊迫感のある曲調だ。
黙々と刻んだベースはドラムとともにバンドのリズムを支えつつ、楽曲を焦燥感溢れる雰囲気へと仕立て上げている。中盤に入るベースのソロは、それまでの荒々しいサウンドとは対照的にベース以外の音を極力抑えているのでとても印象的。メロディ自体もシンプルなメロディラインながらも、煽情的な音色となっているため一聴の価値ありだ。
――上記で紹介した曲たちは後に1994年1月21日に発売されたメジャーデビューアルバム『J・A・M』に収録された。同アルバムはベースでリーダーの恩田快人が当初構想していた、 “女のコが歌うポップで切ないサウンドをバンドでやる” というコンセプトが存分に詰まっている作品なので、JUDY AND MARYのファンならば一度は聴いておきたい名盤である。