昨年4月、11年半の連載に幕を下ろした漫画『進撃の巨人』。今回は、調査兵団の兵士長であり人類最強と目されている、人気キャラ・リヴァイの過去を描いたスピンオフ漫画「悔いなき選択」のアニメ版を紹介したい。
■「悔いなき選択」のあらすじ
「悔いなき選択」は、月刊漫画雑誌『ARIA』の2014年1月号から8月号で連載されていたスピンオフ漫画。ストーリーの原案は砂阿久雁、作画は駿河ヒカルと、「進撃の巨人」原作者の諫山創が手掛けてはいないものの、オリジナルアニメDVDとして、2014年12月9日発売の原作単行本15巻に前編、2015年4月9日発売の単行本16巻に後編が付属するほどの人気を博した作品だ。
ストーリーは、リヴァイが地下街で生活していた頃のエピソードから始まる。当時のリヴァイは窃盗団のリーダーをしており、ファーランとイザベルという仲間と共に、立体機動装置を操り、あくどい地下商人たちから盗みを働きながら生活を送っていた。
ある日3人の前に男がやってきて仕事の依頼を持ちかける。リヴァイはそれを断るが、仲間の1人の治療費を前払いと、成功した場合地上への永住権を約束すると提案してきたことからその依頼を受けることに。その後3人の前に後の調査兵団団長のエルヴィンが現れ、3人の調査兵団入団を提案してくるのだった。
■リヴァイやエルヴィン以外の原作メンバーが多数出演!
本作の見どころのひとつは、リヴァイやエルヴィン以外の原作メンバーも多数出演していることだ。例えば、原作でも登場する調査兵団のミケは、エルヴィンがリヴァイと最初に出会ったときにも同行しており、「さて、調査兵団の腕前…見せてもらおうか」と、調査兵団相手にやる気満々だった当時のリヴァイと互角の戦いを繰り広げている。
他にも主人公エレンたちの教官だったキースが、まだ調査兵団の団長を務めていたり、名前だけの登場ではあるものの、兵団組織の総統を務めるザックレーも存在を言及されていたりする。
エルヴィンとリヴァイの過去の出会いの話でありながら、それを取り巻くキャラクターの過去もしっかりと掘り下げられている点が大きな魅力だろう。
■原作ではなかなか見られないリヴァイの慟哭に胸を打たれる……
本作の最大の見どころは、なんと言ってもリヴァイが怒りと悲しみを露わにする終盤のシーンではないだろうか。
物語終盤、調査兵団とともに壁外調査に同行することになったリヴァイは、とある思惑から1人別行動をとることに。だがその最中、調査兵団の大量の死体、イザベルとファーランたちがいる方向に向かっている巨人の足跡を発見する。2人の安否を危惧したリヴァイは急いで足跡を追うのだが、そこには変わり果てた友の亡骸が転がっていた……。
原作ではあまり感情を露わにしない印象のリヴァイだが、この惨劇を前には激しく慟哭し、2人を殺した巨人を鬼気迫る勢いで切り刻んでいく。あまりの猛攻に、巨人も逃れるように空に手を伸ばすが、リヴァイはその手すら粉々に切り裂くのであった。
リヴァイの心の痛みを吐き出すような声と、怒りに任せて巨人を切り刻む描写からは、彼の仲間を思う気持ちが痛いほど伝わってくることだろう……。