鬼才の漫画家・藤田和日郎が描く『うしおととら』。ラスボス・白面の者は作中何度もその恐ろしさが言及されている最強最悪の存在。国を亡ぼしたり、潮ととらを窮地にまで追い込んだりと圧倒的な強さが印象的であった。今回はそんな白面の者のヤバさを紹介しよう。
■陰の気が具現化した大妖怪であり、一夜にして国を亡ぼす
うしおととらの世界観では、世界が成り立つ際に陽と陰の気が生まれたとされるが、そのうち陰の気が集まり生まれたものが白面の者。当初はただの気の集合体であったものの、とらの正体である英雄・シャガクシャにとり憑いて負の気を着々と溜めていき、現在の白狐のような実体を得ることができたのだ。
その力はすさまじくシャガクシャの生まれた印度に災厄をもたらしたり、古代春秋戦国時代の中国を一夜にして亡ぼしたりするなど、惨劇をいくつも生んでいる。また、生けるものが絶望するたびに自身の力を増幅させるため、理論的にはほぼ無限大に強くなっていくのである。
■全長数km、特殊能力をもった9つの尾……まさに “化け物”
うしおととらの世界では様々な能力を持つ妖怪が登場しているが、白面の者はそれらと次元が違うスペックを有している。大きさは数kmをゆうに超えており、尾の変化を考慮すればなんと数十kmまで大きくなる。その大きさゆえに国を支える要の岩からの封印が解かれた後は、日本列島が崩れてしまうと言われていたほど。
また白面の者の特徴である9つの尾はそれぞれに特殊能力があり、炎を放ったり妖怪を生み出したりするなど厄介な能力が盛りだくさん。そして、潮ととらが倒せなかった霧の妖怪・シュムナやキリオをだまし続けた斗和子も、実は白面の者の尾の一部であり最終決戦で再び潮たちを苦しめることになった。
■記憶を奪う、デマを流して仲違い……頭も切れるラスボス
白面の者はその圧倒的な強さだけではなく、かなり頭も切れる妖怪。コミックス第27巻では潮ととらに関する記憶を人々と妖怪から奪い、彼らを完全に孤立させることに成功する。またコミックス第28巻では秋葉流をそそのかして寝返らせたり、とらが流を殺したと潮に誤報を流したりして、二人の仲を完全に引き裂くなど、自身の敵となる者たちを徹底して無力化させることに成功しているのだ。
人々の憎しみや疑いといった感情を巧みに読み取り、狡猾な策略を立てることができる白面の者。それは、自らを陰の存在だと自負し、負の感情を理解しているからこそできる芸当なのかもしれない。