なにわ男子・道枝駿佑さんが5代目金田一を演じる『金田一少年の事件簿』(日本テレビ系)が話題を集めています。そこで今回は『Smart FLASH』(光文社)でドラマ批評連載を持つ筆者が、『金田一少年』シリーズを振り返っていきます。
■最新・5代目のなにわ男子・道枝版金田一は天然のおっとり系
『金田一少年の事件簿』は同名漫画を原作にしたミステリードラマ。これまでにKinKi Kids・堂本剛さん(1代目/1995年~1997年)、嵐・松本潤さん(2代目/2001年)、KAT‐TUN・亀梨和也さん(3代目/2005年)、Hey!Say!JUMP・山田涼介さん(4代目/2013年~2014年)という、ジャニーズのエース級タレントが主演を務めてきた伝統あるシリーズです。
初代の堂本版金田一は2シリーズ放送され、どちらも全話の世帯平均視聴率(※ビデオリサーチ調べ/関東地区)が20%越えの大ヒット。その後、松本さん、亀梨さん、山田さんと金田一役を引き継いできており、今年5代目に道枝さんが抜擢されたというわけです。
そんな伝統あるシリーズですが、原作漫画の金田一少年像をもっとも再現していたのは、やはり初代の堂本さんだったのではないでしょうか。
普段はお調子者の明るいおバカキャラで、学校の成績は悪く、遅刻やサボりも多いため、周囲からは落ちこぼれと見なされている。しかし、実はIQ180という天才的な頭脳を持ち、ひとたび事件が起これば、鋭い洞察力や柔軟な発想力で冷静沈着に推理し、難解な事件を解決していく――というのが原作漫画の金田一少年で、堂本さんはかなり忠実に踏襲していたのです。
けれど、実は松本さんが演じた2代目と亀梨さんが演じた3代目は、原作漫画からそもそものキャラクター設定にかなり変更が加えられていました。松本版金田一はクールで他者とあまり深く関わろうとしないキャラ。亀梨版金田一は祖父にコンプレックスを持つなどして嫌っており事件に積極的にかかわろうとしないキャラ。
2代目、3代目は原作漫画とは違ったアプローチで、ドラマオリジナルの路線を確立していたのです。
一方、4代目となる山田版金田一は、原点回帰路線で原作漫画に近いキャラ設定に戻っています。事件が起こり推理をし始めるとキリッと二枚目になりますが、普段はおちゃらけているひょうきんな性格で、勉強が苦手でスケベな女好きでした。
そして5代目の道枝版金田一は、天然っぽいおっとりとした性格のため、クールだった松本版金田一や亀梨版金田一とは明らかに違いますし、堂本版金田一や山田版金田一とも少々異なる新たな金田一像を打ち出しています。
ここまで振り返ると原作漫画の金田一像に近いのは、堂本さんか山田さんが演じた金田一であることがわかるでしょうが、二人を比較すると堂本さんに軍配が上がる気がするのです。
原作漫画の金田一最大の魅力はおバカモードと天才モードのギャップで、堂本さんはその切り替えが秀逸でした。堂本さんはジャニーズ事務所の売れっ子ですが、正統派の美形というわけではないし、良い意味でアホヅラが似合うタイプというのも、功を奏していたのでしょう。
山田さんもひょうきんな三枚目を熱演していましたが、ジャニーズタレントのなかでもトップクラスの美形度を誇るため、そのぶんおバカキャラを演じるにはハンデがあったのかもしれません。三枚目っぽさを出しても画面に映し出される美しい顔のインパクトが強かったのです。
そのため、比較すると堂本さんが演じた金田一の “ダメさ加減” のほうが際立ち、原作漫画の金田一像をもっとも再現できていたように感じます。