「奇跡の人」ヘレン・ケラーを支えていた "森林浴" の力とは?

 

ヘレン・ケラー。「見えない」「聞こえない」「話せない」の三重苦を乗り越えて、社会福祉事業に尽力した「奇跡の人」です。多くの著作を発表し、世界各地を歴訪しながら、障害者の教育や発展に尽くしました。三重苦の彼女が克服できたのだから私もできる、と勇気をもらった障害者が世界各地に多く生まれたといわれています。1968年に87歳で死去。1999年に『LIFE』誌による「この1000年で最も重要な功績を残した世界の人物100人」にも選ばれています。

 

このヘレンを悲劇が襲ったのは、1歳半のときでした。高熱をともなう髄膜炎を発症して視力と聴力を失い、話すこともできなくなってしまったのです。

 

ヘレンは、物が見えず、話が聞こえず、自分の意思を言葉で伝えられないため、毎日のように癇癪を起しました。健常者には想像できないようなとんでもない闇の中を生きていたことでしょう。

 

しかし、彼女は誰に教わるでもなく、自宅の庭園にあった植物に顔をうずめることを覚えます。いつしか癇癪を起した心が安らぐことに気づいたからです。

 

ヘレンが植物に顔をうずめていると、やがてイライラが消え去っていきました。時には気持ちが一転して、楽しい気分になることもあったといいます。植物の香りの癒し効果で、感情が爆発しそうになるストレスが抑えられたのです。

 

植物や樹木がフィトンチッド(嗅覚刺激)という揮発性成分を放出していることは、1930年ごろにレニングラード大学のボリス・ペトロヴィッチ・トーキン氏が発見しています。また、2004年~2017年には、森林総合研究所と千葉大学が被験者600人を用意して行った大規模実験で、「森林浴を行うと、リラックスしたときに高まる副交感神経活動が昂進し、ストレス時に高まる交感神経活動が抑制、ストレスホルモンであるコルチゾール濃度が低下する」という研究結果を発表しています。

 

植物の香りを嗅いだり、森林浴をしたりすると、自律神経が整って、免疫力がアップし、ストレスが解消されるということです。イライラしたときには、必要な行動ではないでしょうか。