90年代といえば、CGを使用した映像手法が飛躍的に発達した時代。特に映画業界では、積極的にCGを取り入れ、誰も見たことのないような映像表現を作り出すことに成功した作品が多い。そこで今回はCGを使って驚愕の映像を表現できた映画3作を解説しよう。
※公開日はすべて日本公開時点のものです。
■ターミネーター2/1991年
1991年に公開されたジェームズ・キャメロン監督の「ターミネーター2」は、映画産業におけるCG時代の到来を告げる作品となった。本作は、1984年に公開された「ターミネーター」の続編であり、シリーズ最高傑作とファンから評判の作品だ。
未来世界で引き起こされるAIコンピュータ「スカイネット」と人類の戦争。劣勢に立たされた機械側は、人類の指導者であるジョン・コナーを抹殺するべくターミネーター・T-1000(演・ロバート・パトリック)を過去に送り込み、ジョンの存在自体を抹消しようと試みる。しかし、人類側も負けじと捕獲したターミネーター・T-800(演・アーノルド・シュワルツェネッガー)を送り込み、過去のジョンを守ろうとする……というのが大まかなあらすじ。
本作に登場するT-1000は、液体状の金属ボディを持つという設定であり、作中でもCGを用いた液体のような映像表現が作られた。車の爆発に巻き込まれるも液体状になって復活したり、銃で撃たれた場所がすぐに元通りになったりとその無敵ぶりを見せつけ、主人公らに感情移入する観客のなかには絶望する人も少なくなかっただろう。
■ジュラシック・パーク/1993年
「ジュラシック・パーク」は、1993年に公開されたスティーヴン・スピルバーグ監督のSF作品。フルCGとアニマトロニクス(生物を模したロボットを使って撮影する映像技法)を用いた映像表現が衝撃をもたらした。
最新バイオテクノロジーによって、恐竜がクローン再生したテーマパーク。古生物学者のアランと古生植物学者のエリー、数学者のイアンはそこに訪れるが、恐竜の胚を奪取しようと企むエンジニアのせいで、コンピュータで制御されていた恐竜たちが解放されてしまう。夢のテーマパークが一転。悪夢のパニック空間へと化してしまうのであった……。
CG使用シーンの合計時間はわずか7分と短めなものの、その圧倒的な映像に当時の観客は度肝を抜かれたことだろう。CGのシーンはあまりにも恐竜の全身がなめらかな動くため、本当に生きているのではないかと錯覚してしまうほどだった。
■トイ・ストーリー/1996年
1996年に公開されたピクサー・アニメーション・スタジオによるフルCGアニメーション映画「トイ・ストーリー」。劇場公開映画としては初のフルCGアニメーションとなった作品だ。
カウボーイ人形であるウッディは、持ち主であるアンディの大のお気に入り。しかし、ある日アンディの誕生日に最新おもちゃである宇宙ヒーローのバズ・ライトイヤーがプレゼントされてしまう。アンディの新たなお気に入りとなっているバズに嫉妬するウッディは、何とかして彼を懲らしめようとするが、ひょんなことからふたり揃って外の世界に出ることに。そこで、出会ったのは近所の悪ガキとして有名なシドであった……。
90年代のフルCGアニメーションということもあって、現在の基準だとやや動きが不自然だと感じるシーンは多いが、十分にアニメーションとして楽しめる域に達している。登場キャラの表情も実に多彩で、特にウッディの顔は生きている人間かと思うほど、喜怒哀楽の表情がはっきりしており、感情移入しやすかったと語る観客は多い。また日本では声優に唐沢寿明と所ジョージが起用され、あまりのハマリ役ぶりに絶賛の声があがっていたことも人気になった理由のひとつかもしれない。