2018年のある日。奥さんとステーキを楽しむ男性。食事を終え15分後ぐらいおしゃべりをしていたその時! 強烈な胸の痛み! 長年一緒にいる妻も夫がこんなに苦しむ様子は見たことがなかった。さっきまであんなに元気に食べていたのに……これはただ事ではない! 急いで救急車を呼び搬送された男性。
そして、搬送された病院で……心筋梗塞を疑われた。それは心臓を動かすために働く冠動脈が閉塞し血流が止まり、心筋が酸素不足の状態になる病気。心筋が壊死すると心停止、突然死につながる。心筋梗塞の前兆とされる主な症状は「激しい胸の痛み」、それに伴う「冷や汗」や「呼吸困難」など。男性の症状はまさにそれだった!
実は、心筋梗塞は発症から1時間以内に処置をしなければ生存が難しくなるという。だが! 心筋梗塞の場合、白血球やトロポニンと呼ばれる数値が上昇することが多いが男性にはそれが見られなかった!
心電図、心エコー、胸部X線検査を行った。しかし心筋梗塞の場合これらの検査をすれば判別できるのだがどの検査でも異常はなかった! なのに苦しみ続ける男性。筋梗塞と症状が似ている大動脈解離を疑い胸のCT検査を行った。しかし、これも問題なし! その時、医師はある異変に気付く。彼のCTを見ると、食道が異常に大きくなっていた! そして医師はピンと来た、これは命に関わることではないと。
実はあの時よく噛まずに飲み込んだステーキが食道につっかえていた! それに気づかずどんどん食べたものが蓄積されたことで胸に強い痛みが起きたのだ! 実はこれ、アメリカで「ステーキハウス症候群」と呼ばれているもの。ステーキや肉をよく噛まずに飲み込み食道に詰まった状態で痛みを伴う。強烈な胸の痛みが襲うが、特に危険な状態になるのはまれだという。 最近では日本でも多く、ステーキやローストビーフで起きることが多い。さらに肉の場合はX線で写らないことが多く、CTをとって初めて診断されることがほとんど。
もしステーキハウス症候群になったと思ったら、自宅での対処法は水を飲んで流すこと。これで流れたらOK! それでも流れず違和感などがずっと抜けない場合は病院へ。そしてこの時にやってはいけないことは違和感をなくそうとしてどんどん追加で物を食べることはNG! 状態の悪化や嘔吐などを誘発する可能性がある。水でダメだった時は無理をせず病院へ。そしてこの詰まったお肉は、内視鏡などで押し込んで流せば大丈夫。
お肉を食べるときはしっかり噛んで食べましょう。(2021年10月5日OA)