最新作「すずめの戸締り」公開間近! 新海誠が描く“美しすぎる青空” を振り返ってみた

コラム

citrus 文月

 

「君の名は。」、「天気の子」とメガヒットを飛ばしたアニメ監督・新海誠。彼の作品には透明感のある “青空” がたびたび描写されるので、印象に残りやすい。今回は11月に公開の新作「すずめの戸締り」の前に、新海の描く青空をおさらいしていこう。

 

 

■「雲のむこう、約束の場所」(2004年)

 

2004年11月20日に劇場公開された「雲のむこう、約束の場所」。新海にとって長編アニメーション2作目となる本作は、東京国際アニメフェア2003、カナダファンタジア映画祭アニメーション映画部門銀賞を受賞するなどアニメ業界で評判を集めた作品となった。

 

現実とは違うIFの戦後世界で南北に分断した日本。米軍統治下の青森に住む藤沢ヒロキと白川タクヤは、同級生の沢渡サユリに憧れている。と、同時に彼らは共産国家「ユニオン」が北海道に設置した「塔」まで飛ぼうと小型飛行機を組み立てようとしていた。しかし、中学3年のとき、サユリは急遽東京へと転校してしまい……?

 

本作の青空は、青森の肌寒い気候を感じさせるような深い色合いが特徴。ヒロキ、タクヤ、サユリが送る青春の尊さと儚さを連想させるようなコントラストとなっているのだ。

 

 

■「君の名は。」(2016年)

 

「君の名は。」は、2016年8月26日に公開の作品。日本国内の興行収入が250.3億円を突破し、全世界でも3.61億ドル(約414.4億円)を超えるなど、名実ともに新海の代表作となった。

 

東京の四谷に住む男子高校生・立花瀧は、ある日岐阜県糸守町で暮らす女子高校生・宮水三葉と体が入れ替わってしまう。性別も住む地域も違うふたりは、当初こそ疎みあっていたが、入れ替わりを繰り返すうちに、徐々に打ち解けていく。その後、入れ替わりが来なくなり不審に思った瀧は糸守町を訪れるが……。

 

瀧と三葉は違う地域に住んでいるものの、どちらの青空も水色の色彩が豊かなもの。ふたりが同じ世界にいると思わせる仕掛けとなっているのだ。

 

 

■「天気の子」(2019年)

 

2019年7月19日に公開した「天気の子」。第43回日本アカデミー賞で最優秀アニメーション作品賞と最優秀音楽賞を受賞した本作は、日本で興行収入を141.9億円も記録し、「君の名は。」に続く大ヒットとなった。

 

伊豆諸島の神津島から船で東京へと家出同然でやって来た森嶋帆高は、道中で知り合ったライターの須賀圭介のもとで働き始める。その夏はずっと雨が降り続いていたのだが、時折特定の地域だけ晴れになる「100%の晴れ女」という都市伝説が流れていた。しばらくして、帆高は些細なことから、実際に晴れを創り出すことができる天野陽菜と出会う。

 

陽菜の晴れを創り出すという特殊能力があるおかげで本作の青空は印象に残るものになった。鬱々と降り続ける雨を急激に照らす様は非常に爽快。太陽の輝きがより一層まぶしく見えるのだった。