連載50周年の「ブラック・ジャック」! 原作、OVA、TVアニメのBJを比較…全然違う?

コラム

citrus 文月

 

漫画界の巨匠・手塚治虫氏の不朽の名作であり、今年で連載50年を迎える「ブラック・ジャック」。本作は過去にOVA化、TVアニメ化していますが、BJのキャラクター像は原作とやや異なっています。今回は原作、OVA、TVアニメごとのBJの性格の違いについて解説!

 

■原作/寡黙そうに見えるけど、実は意外とお茶目?

 

まず原作のBJをおさらい。

 

一般的なBJのイメージですと、ぱっと見は一匹狼でニヒルな性格ですが、患者を助けるためには全力を尽くす医者の鑑と思い浮かべる方も多いはず。

 

しかしその一方、彼はお茶目なところも多く、医師免許をもらえると思って口笛を吹いたり、子どもの前でドラキュラの真似をして怖がらせたりするなど、クールなイメージとは程遠い行動をすることも。堅物そうでありながらも、割とノリが良く、助手であるピノコのわがままも聞いてあげるなど、面と向かって接してみると仲良くできそうな性格をしているのです。

 

ほかにも原作では、変顔をしたり、ジョークを言ったりするなどユーモラスな一面が満載。もちろん、BJは親密な人付き合いなど好まないでしょうし、権力者や金持ちには厳しいですが、「近所に住む変なお兄さん」という感覚で接していると、実は案外楽しく交流ができるのかもしれません。

 

■OVA/シリアス、かつどこかロマンチストな性格

 

次にOVA版のBJを紹介していきます。OVA版は日本アニメ界の巨匠・出崎統氏がメイン監督を務め、1993年から2011年まで制作されたOVAシリーズ。原作の話をよりシリアスに改変、再構成したオリジナルストーリーが特徴のシリーズです。

 

こちらのBJは原作のお茶目さが消え、言葉遣いもより丁寧になりました。全編を通して大人っぽく、ハードボイルドな一面が際立ち、無骨な男性として描かれています。原作では、手術中やシリアスな会話の場面でもとぼけた表情を見せることもありましたが、OVAではほぼ皆無。無表情で着々と仕事をこなす姿が印象的であり、職人気質な一面が強調されました。

 

また手術代の借用書も大事に保管している話もあり、原作以上に患者の命を大切にしていることを思わせます。こう考えてみると、本作のBJは医者としても、人間としても原作以上に成熟した人物として描かれていたと言えるかもしれません。

 

しかし一方で、原作のイメージとはかけ離れる描写もあります。本作のBJは美女と関わる機会が圧倒的に多いのですが、女性に優しく接したり、しまいにはおでこにキスをしたりと原作以上にロマンチストな態度を取るのです。こうしたプレイボーイなBJの描かれ方は、賛否両論あるものの、また違ったBJの姿を見ることができて面白いかもしれませんね。

 

■TVアニメ/原作準拠だけど、より頼れる男性のイメージへ

 

最後にTVアニメ版のBJを紹介していきましょう。2004年から放送開始しており、話を原作準拠に構成しながらも、一部キャラクターの役割、話のラストが改変されるなど、原作とは違ったストーリーが楽しめるシリーズとなっています。また続編の「ブラック・ジャック21」では、従来の一話完結型の物語ではなく、連続ストーリー仕立てになるという画期的な試みが施されました。

 

TVアニメ版のBJを一言で表すとしたら、人に甘くなっていること。なかでも、ピノコに対する溺愛ぶりは原作以上であり、彼女が苦しんでいたり、悩んでいたりしたときは全力で身を尽くすシーンも。またピノコ以外にもやたらとお人よしな面が増えており、一視聴者からするとかなりの世話焼きに見えてしまいます。

 

そして、OVA版のBJ像を下地にしてか、ギャグシーンの数も減少。とは言えお茶目さは減ったものの、OVAほど暗すぎず、よりたくましく頼もしい人物として描かれているので、見方によっては「TVアニメ版のBJに手術してもらったほうが安心できそう」と思えるかも?

 

まとめるならば、「いざというときに頼りたいと思える」、「いつでも悩みを相談したいカッコいい大人」といったような評価がTVアニメ版BJの特徴と言えるでしょう。こう俯瞰してみると、OVA版のキャラクター像は後のBJ作品にかなり大きな影響を及ぼしたと考えられますね。

 

ちなみにOVA、TVアニメどちらもBJ役を大塚明夫さん、ピノコ役を水谷優子さんが務めています。声優が同じなため、より作風やキャラクターの違いを意識して視聴できるので、ぜひ見比べてみてください。

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