草むしりで虫に刺されて命の危機に!? 小さな凶悪生物の正体とは…

コラム

 

2017年。佐賀県唐津市。小児科のI医師は、医師になって5年目の時あるとても珍しい症例を診たという。それは、子どもとしては国内でわずか2例目のとても稀な症例だった!

 

中学で野球に打ち込んでいたRさん。当時12歳。ある日、学校で草むしりをしていると……頭頂部に何か違和感が。触ってみると……なんとそこには虫がいた! 慌てて払うRさん。ただの小さな生物だったが、それがまさかの事態を起こす!

 

次の日……頭痛があり熱っぽい。なので近所のクリニックへ……「ただの風邪」、このときはそう思っていた。ところが……その後、高熱が出て、しかもそれが何日も続いた。やがて、食事もまともに取れなくなり、総合病院へ。立っていることすらできない状態だった。

 

このとき、Rさんを診察したのが、I医師。すぐに入院をすすめ、輸液が投与された。その後、新たな症状が……激しい下痢を引き起こしたのだ。白血球と血小板の値が低いことからウイルス感染症を疑ったI医師。詳しく話を聞くと、数日前のあの小さな生物のことを知った。1cmくらいの虫に刺された……医師の脳裏にある感染症がよぎった。

 

それはマダニによるダニ媒介感染症。

 

これは、病原体を持つダニに咬まれることによって起こる感染症。これらの病原体を媒介するのが、「マダニ」。布団など家にいるダニとは違い、マダニは数ミリから20ミリほどの大きさで、肉眼で見ることができる。

 

マダニの栄養源は、人や動物の血液。草むらや藪など屋外に生息し、そこを通った動物や人を狙う。そして、口にある突起物を皮膚に差し込んで、数日から長いものでは10日以上かけて吸血する。その際に、唾液などの分泌液を介して病原体を感染させることも。吸血する際に、麻酔効果のある物質を出すといわれていて、吸われても気づかず、痛みや痒みを感じない場合も多い。実際に吸血しているマダニはホクロのように見えるため、気がつかないことも多い。

 

医師はすぐに衛生研究所に血液検体を提出。症状や検査結果から、あるマダニによる感染症が浮かんだ。 

 

■子どもには症例がほぼ無かった感染症


その感染症とは「SFTS」。重症熱性血小板減少症候群。SFTSウイルスを持つマダニに咬まれることで発症する感染症。2011年に中国の研究者によって発表された。日本では2013年に初めて症例が発表され、現在までに600以上の症例が確認。80人が死亡している恐ろしい感染症。

 

主な症状は、発熱や消化器症状、ときに神経症状などなのだが……。実はこの感染症、感染者の約90%が60歳以上とされ、30歳未満の割合は1%ほど。このとき、国内での子どものSFTS感染はわずか1例しか報告されていなかった。そのSFTSに感染していると判明したのだ!

 

この感染症がおそろしいのは……特効薬がないことだった。最初の発熱から5日。血小板減少や凝固異常などによって皮下で出血を起こしていると考えられた。こうして、感染症の専門医がいる大学病院へ転院。

 

命の危機……だが事態は好転する! すぐ検査をすると……白血球や血小板の低下が止まり始めていた。なんと、治療を始める前に、回復の兆しが見えたのだ。I医師によるとおそらく本人の免疫がウイルスを抑え込んだ可能性があるという。

 

こうして、体調は徐々に回復。1週間後、無事退院となった。その後の検査で、咬まれた頭の皮膚からもSFTSウイルスが検出。頭頂部が感染部位と特定された。

 

Rさんは、入院しはじめの頃は意識が朦朧としていたので、あまり記憶に残っていないと当時を振り返る。

 

SFTSは、2013年に日本国内で始めて感染例が確認されてから、毎年60〜80例、多いときで100例ほどあり、特に西日本を中心に症例が報告されている。全てのマダニが病原体を持っているわけでなくマダニのSFTSウイルス保有率は地域や季節によるが0〜数%と言われている。

 

とはいえマダニに咬まれないのが一番! 草木の近くにいくときには、肌の露出をできるだけなくすことが大事。さらに、口にある突起物が皮膚に残ってしまうこともあるので、人も動物も、咬まれた時には、無理には抜かず、すぐに病院へ! (2021年10月26日OA)

 


ザ!世界仰天ニュース

「日本の重大ニュースSP パート1~福島原発事故!日本が震撼した運命の5日間~」

放送日時:3月7日(火)21:00~21:54

 

3月の「ザ!世界仰天ニュース」では、4週連続で「日本を震撼させた重大ニュースSP」を放送! 3月7日は「福島原発事故!日本が震撼した運命の5日間」と題し、日本が絶体絶命の危機に陥った、「福島第一原子力発電所事故」の真実に迫る。津波で電源を失い、原子炉をコントロールできなくなった福島原発。放射性物質の大量放出を食い止めるために行われた、世界初となる異例の対応とは!?

 

 

スタジオでは、東日本大震災が起きた12年前についてトーク。当日、スタジオで撮影をしていた斎藤は、「戦争が起きたのかと思った」と、黒煙やヘリコプターが見えた時の心境を語る。池田は「小学6年生で、親が迎えに来ないと自分の家に帰れない」という状況を回想する。

 

MC:笑福亭鶴瓶・中居正広

アシスタント:杉原凜(日本テレビアナウンサー)

スタジオゲスト:斎藤工、池田美優、箭内夢菜、あばれる君

公式HP:http://www.ntv.co.jp/gyoten/

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