国民的スポーツ行事をネット配信で観戦する際の良し悪しとは?

コラム

 

野球中継は初参入の『アマゾンプライムビデオ』(※以下、アマプラ)が、3月8日に開幕した『ワールド・ベースボール・クラッシック』(※以下、WBC)に出場する『侍JAPAN』の壮行試合4戦目(日本代表×中日ドラゴンズ/バンテリンドーム)を3月4日にライブ配信した。

 

アマプラはWBCの全日本戦をライブ配信するという。4日の中日戦は、地上波でもBSでも放送されていない “独占配信” だったので、私も自宅のテレビ画面にアマプラを接続し、はじめて「アマプラによる野球中継」を鑑賞させていただいた。そして、結果から申すと──なかなかにツッコミどころが満載の内容であった。

 

まず、「球数表示」が出てこない。通常のプロ野球などと違って、WBCは「投手の球数制限」があるため、とくに「投手が投げた球数」は、観る側からしても重要である。実況を担当している『ライオンズナイター』(文化放送)でお馴染みの斉藤一美アナは、試合中に「ツイッターで球数表示が欲しいとの声が多数きています」と “内情” を明かし、「本番までの宿題とさせてください」と “改善” を約束した。

 

また、(投手の)球速の表示も出てきたり出てこなかったり……と、マチマチ。大谷翔平選手や佐々木朗希選手も投げるのだから、やはりこのような “ミス” が本番でも続くようなら、クレームも殺到するに違いない。あと、スタジオと現場との連携だって、お世辞にも「スムーズ」とは言えなかった。

 

ちなみに、3月7日に放送された壮行試合6戦目(日本代表×オリックスバッファローズ/京セラドーム)では、「球数」と「球速」の “宿題” は、ほぼ改善されていた。

 

そもそもがアマプラ配信の映像を大画面のテレビに映し変えたら、(少なくとも私が知るかぎりのITスキルだと)どうしても画質が悪くなる。映画とかならまだしも、小さなボールがグラウンド内で頻繁に飛び交う “野球” というスポーツを放送するには……やはり、大きなビハインドとなってしまうことだろう。

 

だがしかし! ここまではいろいろと苦言を呈してきた私だが、アマプラの野球中継が「すべてダメ!」だと全否定しているわけでは決してない。

 

たとえば、全試合の実況をする予定の斉藤一美アナは、ラジオでしか野球を担当したことがないらしく、その癖が抜けないせいか、とにかく “間” を言葉で埋め尽くすような解説をなさっていた。映像付きの野球中継では、いささか “うるさすぎ” という批判も出てくるのかもしれないけど、私個人としては、テレビの中継にはない緊張感と臨場感を味わうことができて、案外悪くないと思った。

 

あと、この日、解説者として呼ばれていた元侍JAPAN戦士の福留孝介氏(※去年引退したばかりなので、今回が解説者デビュー!)と里崎智也氏のやりとりも「解説」というよりは「雑談」であった。ただ、そんなユルユルの空気がそうさせたのか、地上波では絶対に聞けない “裏話” もけっこう連発していた……気がする。

 

しかも、初戦の対中国戦には、なんと! 第1回WBC優勝監督である、あの世界の王貞治氏が、特別コメンテーターとして登場するらしい。

 

さて。『ABEMA』が、サッカーW杯カタール大会の中継に踏み切り、解説に元日本代表選手・本田圭佑氏を起用して、その “自由すぎる” トークが大きな話題を呼んだのは記憶に新しい。同局は3月6日、 “野球” でも壮行試合5戦目(日本代表×阪神タイガース/京セラドーム)のライブ配信を行った。解説に起用されたのは、やはり元侍JAPAN戦士で、現在は『栃木ゴールデンブレーブス』に在籍する川﨑宗則選手と西岡剛選手。その意気の合ったやりとりは、まるで “漫才” のようなやりとりで、大谷選手が左膝をつきながら特大のホームランを打った瞬間、西岡選手は「うせやろ」(=「嘘だろ」の関西弁)を4回連呼──その「うせやろ」はSNS上でトレンドワードになりつつある……のだとか。

 

私はこのたびのWBCを地上波で観るか、サブスクで観るか……を只今猛烈に悩み中である。なるべくキレイな画面で観たい……けど、王サンも観たいし、サブスクならではのざっくばらんとした “解説” も観て(聞いて?)みたい……。おそらく、テレビでは地上波を流し、同時にスマホではサブスク……といったスタイルに落ち着くのだろうが、これからは若い世代を中心に、お風呂にゆっくり浸かりながらサブスクオンリー、サブスクで野球を観てテレビでは別番組……みたいな風に、国民的スポーツ行事のメディアにおける観戦の仕方も……さまざまと多様化していくのではなかろうか。

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