「文春が書くことはすべて正しい!」はちょっと気持ち悪い

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『週刊文春』5月26日号より

タレントのベッキー(32)の所属事務所『サンミュージックプロダクション』が5月18日、マスコミ各社に「弊社所属のベッキーに関わる最新号『週刊文春』の報道について、ご報告いたします」としてファックスを送付。川谷絵音(27)の元妻の代理人弁護士の書面を公開した。ご興味があるなら、その全文は『東スポWeb』に掲載されていたコチラを、まずご覧いただきたい。

 

さて。今回のこの文書で「注目すべき箇所はどこなのか?」と問われれば、やはり

 

週刊文春の記事で、一点だけ事実と違う記載があります。それはA子さんが、「弁護士と相談の上で、ベッキーさんの自分の謝罪と仕事復帰へのタイミングのズレの違和感と、放送の内容について、サンミュージックに抗議の書面を送ったという。」との週刊文春の記載の部分です。事実は、「中居正広の金曜日のスマイルたちへ」の放送前にサンミュージックの社長が当職に架電してこられ、A子さんの心情をきずかって、気分を害されることがあればご連絡下さいと言われたところから、A子さんが当職の目の前で素直な心情を手紙に書いた手紙で、他人の目に触れないよう当職が預かり、翌日、サンミュージックの社長に届けたものです。これはあくまでもA子さんが社長に分かっておいて欲しいA子さんの気持ちを伝えたもので、これで全てを終わりにしたいとのA子さんの気持ちも当職から伝えております。

 

といったくだりではないか。

 

では次に、この箇所の「なにに注目すべきなのか?」と問われれば、「弁護士さんの書く原稿はなんでこうも解りづらい言い回しなんだ!」ってとこでも「『きずかって』は『きづかって』の間違いではないのか?」ってとこでも決してない。これを「完全誤報」とするか否かは、解釈次第ではどのようにも捉えられる微妙なところなのだけれど、重要なのは、弁護士という法律のプロフェッショナルが記事(の一部)を公の場で「事実と違う記載」と明文化し、とりあえずは「文春に一矢報いたかたち」となったことだと私は考える。

 

ここ数年における週刊文春の快進撃は目を見張るものがあり、ベッキー問題のほかにもパッと思いつくだけで「ASKA・清原の薬物疑惑」「佐村河内守のゴーストライター疑惑」「甘利明議員の賄賂疑惑」「宮崎議員の不倫報道」……と、スクープを連発し、しかもその取材精度の高さから“スクープの主役たち”はことごとく地獄へと突き落とされるハメとなった。まさに、ドカベン・山田太郎の甲子園通算7割5分に匹敵する高打率だと言えよう。

 

ただ、今年に入ってから文春砲があまりに短期間で連続ホームランをかっ飛ばしてしまったがゆえ、「文春が書くことはすべてが正しい!」という風潮が出来上がりつつあったのもまた現実で、それはわりと危険で、ちょっと気持ち悪い兆候でもあった。

 

これら一連の騒動について報じたのが、仮に「ど真ん中のストライクは空振ってばかりだが、たまーに特大のホームランをかっ飛ばす悪球打ちの岩鬼」的な東スポだったらどうだろう? 「またトバしかよw」と“ゴシップ”の主役に憤ることもなく「w」を含んだ穏やかな気持ちで、記事内容の真偽に対して冷静なジャッジを下せるのではなかろうか

 

そう。報道の世界とは「野球」と同じ──つまりノムさんが言うところの「失敗のスポーツ」なのである。テレビ・大新聞・文春・新潮・東スポ・アサヒ芸能・実話ナックルズ・2ちゃんねる……諸々、媒体ごとの通算打率を参照にしながら「〜だって間違うことはある」「〜は間違うことが多い」「〜も間違っていないことを書くこともあるのか」……と、まずは「失敗=誤報」を疑ってかかり、臨むのが本来の“健全な姿勢”なのだ。

 

週刊文春の緻密かつ執拗な圧倒的取材力には惜しみない敬意を払いつつ、「センテンススプリングにだって間違いはある」という昨今の派手な“空中戦”に埋もれがちな“確実に起こりうる可能性”を、「山田太郎でもイチローでも10割打者には絶対になれない」という“真理”を、今一度、肝に銘じておきたい。

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ネットニュースパトローラー

山田ゴメス

1962年大阪府生まれ B型。 ネットニュースパトローラー(※citrus限定肩書き。たまにスポーツ新聞や週刊誌も。略して「NNP」)。 関西大学経済学部卒業後、大手画材屋勤務を経てフリーランスに。エロからファッショ...

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