上の指示ばかりに気を遣う、自己保身型組織人(イエスマン)にはなりたくありません

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京橋 拝志朗

上の指示ばかりに気を遣う、自己保身型組織人(イエスマン)にはなりたくありません

ぼくの長男(高2)は、とある全国規模のボランティア系の団体で、地方の学生会長をやっています。長男のプライバシーにかかわるため、団体名は詳しく書きません。学校の部活はやっておりませんが、その団体では熱心に活動しています。

 

世のため、人のために何かするということは素晴らしいことなので、ぼくはこの団体へ参加を喜んで承認しておりました。しかし、会長ともなると忙しいようで、行事の準備やら会議やらで、毎晩10時を過ぎる帰宅が多くなりました。学生の本分は学業です。案の定、成績も下がり始めました。

 

いくらなんでも17歳の学生が、毎晩こんなに遅くまで活動することはいかがなものかと、その団体で学生たちの担当をしている男性職員へ苦言を呈しにいくことにしました。すると、あきれた答えが返ってきました。親の心配をよそに、ニコニコしながら、こう言うのです。

 

「今度の●●祭で絶対優勝するようにというのが、上からの指示なんですよぉ~」

 

 

年に2回、全国の支部で競うイベントがあることは知っていましたが、要はそこで「1番になれ」というのが、地方組織の長の指示なのだそうです。組織の長ともなれば、そうやって組織を活性化し、牽引したくなる気持ちは、ぼくも社長だったのでよく分かります。

 

子どもたちもそのイベントで頑張りたいのですから、ある程度は仕方ないです。何かを勝ち取るために一生懸命になることを、ぼくも否定しません。それにしても、やはり未成年に毎晩遅くまで活動させるのは許容範囲外でしょう。そのことを問うと、

 

「いや、われわれ職員が一緒にいますから大丈夫です。上にも承認を受けています。それに、親御さんが車で迎えに来るお宅が多いです。ご心配なら、京橋さんも迎えに来たらいかがですか」

 

という答え。開いた口がふさがりませんでした。世のため、人のために活動する団体の職員が言う言葉でしょうか。親の苦労や心配など微塵も考えず、自分たちの目線でしか見ていません。こんな団体が本当に、世のため、人のためになっているとは、到底思えません。

 

 

■子どものほうが、ずっと冷静に大人を見ているものです

ボランティア系の団体と言えども、この職員はしょせん、サラリーをもらう仕事としてやっているだけなのでしょう。だから、クビや左遷などをされないよう、上の指示ばかりに気を遣っているだけの、典型的な自己保身型組織人になっていると思いました。

 

むろん、組織の人間であれば上長との報連相(報告・連絡・相談)を密にして、組織の意向の下で動くことが基本です。そんなことは組織運営の常識中の常識です。しかし、「上が、上が」と、自分たちの組織の論理を組織外のぼくに押し付ける神経が麻痺していると思います。

 

この団体の場合、「世のため、人のために尽くす」というボランティア精神を実行することが設立目的です。だったら、まずは所属している未成年の健全育成を真っ先に考えるべきでしょう。イベントの優勝なんて、二の次、三の次です。

 

その組織の設立目的と、組織の構成員の言動が乖離し出したら、その組織は末期にきています。早急に設立目的に立ち返ることが肝要です。

 

ともかく、自己保身型組織人に何を言っても変わりません。そこで長男に直接、「学生の本分とはなあ……」と説教することにしました。すると、あっさりこう言われました。

 

 

「そうだよね。ぼくが会長だから、もっと早く終わるように仕切るよ」

 

その翌日から、帰りが遅くなることはなくなりました。

 

なんだ、もっとわが子を信頼して、先に長男と話せば良かったなあ、と思いました。そうしたら、変な団体職員に腹を立てることもなかったのに……。そう思って、ついそのことを長男に言うと、またあっさりこう言われました。

 

「あはは。○○部長(当の職員)は、上の指示だけに従うイエスマンだから、何を言っても無駄だよ。父さんは人を見る目がないなあ。でも、ああいうイエスマンには絶対になりたくないよね。大人社会には幻滅するけど、いい社会勉強になるよ。ぼくらの時代には、こういう大人がいなくなるような社会にしたいと思ってる」

 

どうもすみませんでした。子どものほうが、ずっと冷静に大人を見ていました。

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京橋 拝志朗

1964年生まれ。新聞や雑誌の記者・編集者、映像クリエーターを経て、マルチメディア・コンテンツ制作会社のサラリーマン社長となる。しかし、経営に頭を痛めることよりも、クリエイティブな仕事が恋しくなり、2014年...

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