段ボールが増えて、宅配業者は疲弊する…すべてネット通販のせいなのか?

ビジネス

 

日本でのインターネット元年とも言える、楽天がサービスを開始した1997年からもうすぐ20年が経とうとしています。今や買い物はネットでというのが当たり前と言っても過言でないほど広く普及したネット通販によって、様々な業界に影響が出ています。今回はネット通販の波及効果を探ってみたいと思います。

 

 

■取扱量大幅増加も疲弊する物流業界

 

ネット通販の普及で一番に影響を受けているのが、宅配業者などの物流業界です。ネット通販のインフラとも言える宅配便がなくては、ここまでネット通販が普及することはなかったでしょう。国土交通省の発表によると、日本国内の宅配便取扱量は年々増加の一途をたどり、1997年から2016年までの19年間で約2.4倍になっています。これだけ取扱量が増加すれば、宅配業者は喜んでいるに違いないと思いがちですが、様々な課題も浮き彫りになっています。

 

まず、取扱量の増加に追い付けずドライバーが不足し、業界全体が疲弊しているという実態があります。特にお歳暮など宅配便の取扱量が増える時期には、配達の大幅な遅れが生じるといった問題も現実化しています。また、大手ネット通販業者など大口顧客からの値下げ交渉で単価が下がり、取扱量が増えても宅配業者の利益はそれほど増えていないとも言われています。さらに今後は、当日配送などネット通販のスピード競争が過熱しているため、今以上に過酷な状況に陥ることが予測されることから、宅配便の価格やサービスの見直し、適正化が必要とされています。

 

 

■段ボールの生産量は7年連続アップ!

 

一方で、これだけ宅配便の取扱量が増えているということは、その分段ボール箱の売り上げも増えているのではないかと考えられます。実際に、毎週資源ごみの日には大量の段ボール箱を捨てている我が家では、明らかにネット通販を利用していなかった頃と比較して家にある段ボール箱の量が増えています。ごみ捨て担当のお父さん方にも、同じように感じられている方が多いのではないでしょうか。ということで、ネット通販の段ボール業界への影響を調べてみました。

 

 

全国段ボール工業組合連合会の発表によると、段ボールの生産量は7年連続で増加し、2017年には過去最高を記録した2007年を上回る139億5,700万㎡程度となる見込みとのことで、ここでもネット通販普及の影響を受けていると考えられます。部門別の内訳では、意外にも全段ボール生産量のうち「通販・宅配・引越し用」の構成比はわずか5%程度だそうですが、2017年もこのまま順調に伸びることが予測されています。段ボールの生産量が増えると、原材料の木材の伐採量が増えて地球環境に悪い影響があるのではと少し心配になったのですが、なんと日本国内の段ボールの回収率は95%以上ということで、環境にも優しいところも需要増加の背景にあるのかもしれません。

 

 

■伸びる業界がある一方で当然縮小する業界も

 

普及するネット通販普及の影響で拡大している業界もあれば、当然縮小している業界もあります。なかでも最も大きな影響を受けているのは、実店舗を持つ小売業界でしょう。特にネットで買いやすい本や家電などを販売する書店、家電量販店などで店舗数の減少が顕著です。この実店舗減少の流れは、時代の変化によるものなのでどうしても避けることは難しいですが、小売業界ではネットと実店舗と相互をうまく活用して購入を促す「オムニチャネル」という動きにつながっています。

 

つい前日、アメリカでAmazonがレジでの支払いが不要なコンビニエンスストア「Amazon Go」をオープンしたことが話題になりましたが、これによってコンビニ業界も戦々恐々としているに違いありません。今後も様々な業界でネット通販による影響を受けることが予測されます。また、ネット通販に限らず日々新しい技術やサービスが生まれている中で、どの業界でも常に生き残っていくために常に変化していくことが求められていると言えます。

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遠藤奈美子

遠藤奈美子

ネットショップの運営に携わり、自身でも日常生活のほぼ全ての買い物をオンラインで行っていることから、ユーザー目線かつ運営者としての厳しい視点で情報を発信。EC事業者と消費者の橋渡し役を目指す。

遠藤奈美子のプロフィール
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