不倫きっかけで“下流老人”へ転落するケースも。問題は慰謝料ばかりではない!

人間関係

 

 

芸能人の不倫騒動が相次ぐなか、平均視聴率7.2%と好調をキープする林真理子原作の不倫小説をドラマ化した「不機嫌な果実」(テレビ朝日系・金曜23時)。番組HPの掲示板では「上司とのW不倫が相手の奥さんにばれました」「中学の時の先生と今不倫中です」「もう、終わりにしたけど、ホントは今でも忘れられないんです」など体験談が続々投稿され、盛り上がっています。

 

栗原千明演じるドラマの主人公・麻也子は結婚して5年目になる主婦、稲垣吾郎演じるマザコン夫・航一は大手金属メーカーの営業部長という設定ですが、これが40代、50代といった中高年世代になると、不倫が夫婦関係にもたらす影響はどう変わっていくのでしょうか。

 

 

■“家庭は壊したくない”は男女共通の認識なのか

 

『カラダと気持ちーーシングル版』(日本性科学会・セクシュアリティ研究所編著、三五館)によると、40~70代既婚男性の27%が「配偶者以外の異性に惹かれる」ことがあり、11%が「配偶者と別れたいと思うことがある」と回答。同世代の既婚女性の場合、配偶者以外の異性に惹かれるのは9%と男性より少ない一方で、男性の2.5倍にあたる26%もの女性が配偶者と別れたいと感じていることがわかりました。

 

これらの数字を見ると、男性の浮気願望は必ずしも離婚願望に直結しません。どちらかというと、家庭は壊したくないし、壊れるとも思ってないというあたりでしょうか。しかし、女性の場合は、そう単純でもないようです。同書にも「女性の浮気願望は男と違って根が深いことを男は十分知るべきだと思います。数字だけを見て、安心してはいけません」といった警告が繰り返し登場します。

 

女性が「(配偶者以外の異性との)性交渉を伴う愛情関係」を求める割合は、40代後半の16%をピークに、40代前半が11%、50代前半が8%。以降は0%ですが、数値そのものは低くても「もしそんな機会があったら突っ走る可能性を秘めて」いるし、「すべてを忘れて”これこそ、私の求めている愛の姿”と、情念に浸るケースもあります」と言います。いざとなったときの、女の行動力を侮るべからず、というあたりでしょうか。

 

 

■婚姻期間15年~20年の場合、慰謝料相場は約534万円

 

不倫に発展したとしてもバレずに終わるケースもあれば、バレて大騒ぎになるケースもあります。大騒ぎになったからといって、必ず結婚生活が破綻するわけでもないのが、夫婦の面白いところです。

 

“育休不倫”で批判を集めた宮崎謙介前衆議院議員がいい例でしょう。妻の出産中に不倫が発覚し、辞職にまで追い込まれ、離婚まで秒読みとも報じられていましたが5月29日、妻の金子恵美議員は、自身のフェイスブックで「離婚しないことを決断し、ここにお伝えします」と報告。不倫という行為自体は“許せない”としながらも、反省の態度や父親としての存在価値を強調。家族としてやり直したいと、意思表示しました。

 

では、“やり直す価値がない”とみなされると、どうなるのでしょうか。離婚時の慰謝料相場は結婚5年未満だと193.1万円だが、15年以上~20年未満で約534.1万円、20年以上で699.1万円と跳ね上がります(厚生労働省「人口動態調査統計」)。もちろん、ケース・バイ・ケースで慰謝料を払う側の年収や職業、年齢によっても金額は変わりますが、婚姻期間が長くなるほど、慰謝料は高額になる傾向があるのは確かです。

 

また、結婚後に夫婦で築いた財産は、財産分与の対象になるし、2007年度から「年金分割制度」も導入されています。ただし、年金分割制度で分割されるのは、厚生年金や共済年金のうち、収入に応じて保険料を納める「報酬比例部分」のみ。国民年金や国民年金基金、厚生年金基金に相当する部分は対象外。夫が自営業者の場合は、そもそも、分割の対象にあたる年金はないわけです。

 

 

■熟年離婚がきっかけで、“下流老人”に転落?


熟年離婚が“下流老人”のきっかけになりうるという指摘もあります。『下流老人』(藤田孝典)の試算では、2人合わせて月々30万円の年金をもらっていた夫婦の場合、単純化して考えると、裁判や調停で労働割合が半々と認められれば、離婚後の受給額はひとりあたり約15万円。別世帯になることで家賃や水道光熱費などの固定費がかさみ、今までと同レベルの生活を維持するのはむずかしくなります。

 

とくに、仕事一筋で家事を妻任せにしてきた男性が、月15万円の生活費でも暮らしてくのは「ほとんど絶望的」だとか。「一人暮らしになって生活能力がない場合、夫婦で過ごしていたときと同じくらい、あるいはそれ以上の食費や光熱費、医療費を支払わなければ、生活を維持できなくなってしまう」というのです。

 

こうなると、慰謝料どころの騒ぎではありません。家事能力の有無は、定年後の生活のクオリティにも直結します。“生涯現役”への野望があるかどうかは別として、最低限の家事能力を身につけることは夫婦関係における、転ばぬ先の杖になりそうです。

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老年学研究者

島影真奈美

「定年後の備えラボ」主宰/編集&ライター 年金から保険、住まい、健康など“定年後”にまつわる不安や悩みを幅広く蒐集。快適なシニア生活と世代間コミュニケーションにまつわる研究・考察を行う。『定...

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